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方舟物語  作者: 狛ノ上緒都
方舟物語・第十章
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2


ルルニアからの支援を受け、いくばくかの資金と二頭立ての幌馬車を借り受けたノア達は、ひとまずフィーニスを目指す途中にあるテルティウスという街を目指すことに決める。


ソフィアール北方にある森。

ノア達は馬車に揺られ木漏れ日さす森の中を進んでいた。


「のどかですねぇ」


馬車の荷台でノアが呟く。

ハクとレイルは御者台に上がり、コクはと言うとノアのすぐ側で眠っている。


返事の期待しない独り言は静かな森の中へと消えた。

空をゆったりと流れる雲を眺め、木々の隙間を跳ねる動物達を眺めるなりしていると、ほどなくして森を抜ける。


抜けるような青い空の下に鮮やかに生い茂る草原が広がり、その光景はまるで絵画のようだった。

絵画の中を馬車ががらがらと音を立てて進む。


吹き抜ける風は柔らかにノアの頬を撫でた。

馬車に揺られること数十分。

ノアも寝てしまおうかと考えていると、ふいに声をかけられる。


「ノア!もうすぐテルティウスだ!」


「クロスケも起きてー!」


御者台から手綱を握ったハクがそう声をかけ、地図を持ったレイルが楽しそうに手をふっていた。

ソフィアールを朝に出立して、時刻はもうすぐ夕暮れで、空のはしが赤く色づき始めていた。


さらに時間がたつと、大きな街が見えてくる。

馬車がその街の門を潜ると、静けさに包まれていた周囲は一気に賑やかな物となる。

人の往来、喧騒と、街特有の雰囲気が辺りを包んだ。



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