物語の行く末
暗く鋼の様に冷たい、ぶ厚い曇り空に包まれた灰色の空の下。
吹雪によって閉ざされた銀世界には生命がおらず、まるでここだけが死んでいるような、そんな場所だった。
白い雪とは対照的に、辺りくすんだ色の建物の残骸がある事が、昔ここは街であった事を思い起こさせる。
──フィーニス。
昔は栄えた街は瓦礫の海となり、その中でも一際大きな古城の中。
生命のない世界にたった一人の人間が四体の法獣を従え、まるで自らが王者であるかのように玉座に座っていた。
暗い古城の中、暖炉の炎だけが城内唯一の光だった。炎の赤い光によって彼の赤髪赤眼がより一層赤く輝く。
彼の名をカイン・レヴァリエ。
法具、グレンデルを封じる一族の人間にして、現グレンデルの所持者である、一族最大の禁忌。
名を捨て、法具と同じ名を名乗る彼には今や昔の面影など無かった。
「──アケーディア、インウィディア……おいで」
アケーディアと呼ばれた法獣は、体毛がこの地の雪のように白い大きな熊の姿をしている。
インウィディアと呼ばれた法獣は、深い森のような緑色の眼を持つ蛇の姿をしていた。
二体の法獣はグレンデルの前へ来ると、そのままおとなしく頭を垂れた。
グレンデルは玉座から立ち上がると二体の法獣の頬を撫でる。
「良い子だ……二人とも」
まるで彼はこの大きな熊と大蛇を宝物のように大切に撫でる。
「ルクスリア、グーラ、アーウァリティア……。キミ達は散ってしまった皆に出来なかった事をやってくれるかい?」
アケーディアとインウィディアは肯定するかのように一声上げて鳴く、その反応に満足したのかグレンデルは微笑を浮かべて、再び玉座に座り、一冊の書物を開く。
始まりの法具士、ニアクとアオンの伝承の書かれた書物だ。
「ハコブネの能力はボクも分からないけど……例えどんな事があっても──ボクはノア、キミを殺すよ──」
その言葉と時を同じくして、暖炉の炎がごうごうと音をたててより一層強く燃え上がった──。




