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「あ、紫ちゃんお帰りなんだぜ」
「レイルさん、お聞きしたい事があるのですが。
フィーニスと言う場所をご存知でしょうか」
レイルが笑顔でノアを出迎える。
ノアは挨拶もそこそこにレイルにグレンデルから聞いた地名を聞こうと前置きも無しに口を開いた。
「フィーニス?地名ならルルニア様が詳しいけど……。ちょっと待って欲しいぜ」
レイルはそんなノアに嫌そうな顔一つとせず立ち上がって、本棚から本を抜き取る。
ハクとコクは何がなんだかわからず、ソファに座ったまま不思議そうな顔をしているだけだった。
ノアはトランクを用意して、おとなしくレイルを待つ。
「あーったあった!ここから北にある元国だぜ!
今では滅んで何にも無いって場所だぜ」
レイルはそう言って本を開いてノアに見せる。
そこには滅び、雪に閉ざされた国の絵とフィーニスという字が書かれていた。
「北、ですか……。ありがとうございます。
……皆さん、ここでお別れです、私は北に向かいます。今まで……お世話になりました」
ノアはハク達に向かって深く頭を下げる。
元々ハクとコクとはレイルに会う為の案内に過ぎなかった。
元々レイルに会いに来たのはグレンデルの情報を持っていないかの確認の為だった。
グレンデルがフィーニスで待っていると聞けばもう三人を危険な旅に巻き込まなくて済む。
そう思っての一言だった。




