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言葉を紡ぐごとに自然と怒気を孕む。
ノアは半ば懇願するように彼を見つめた。
「どうしてか、面白いこと言うね。
ボクをこんな風にしたのはノアなのに」
グレンデルはすっと笑うことを止め、睨むかのようにノアを一瞥した。
「どういう……」
「キミに良いことを教えておこう。
ボクはフィーニスにいる、来れるものなら来てみなよ。
ただしキミの周りにはボクの法獣がつきまとう。
キミにつく人間は争いに巻き込まれ、不幸になるだろうね」
どういう意味かと聞こうとすると、グレンデルはそれを遮って言葉を紡ぐ。
自分に法獣がつきまとう。
自分のせいで周囲は不幸になる。
その言葉にノアは暗い影を落とした。
「どうするかはキミ次第だよ。スペルビア!」
グレンデルはノアの言葉も聞かぬまま、自身の法具をぎゅっと握る。
するとグレンデルの意のままに、大きなグリフォンが姿を現した。
グレンデルはスペルビアと呼ばれたグリフォンに騎乗すると、そのまま天高く舞い上がってしまった。
「禁忌を犯した理由が、私……?」
グリフォンの巻き上げる風の中、ノアはぽつりと呟いた。
グレンデルが言っていた言葉にいくつか疑問が残るまま、ノアはこれ以上いても仕方がないと墓地を後にする。
レイルの家へ戻ると、皆は当然なにも知らない様子で楽しそうに談笑していた。




