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「こ、のっ……!」
ノアが追撃しにかかるが、狐は辺りの騎士団もろとも尻尾で凪ぎ払う。
ノアはざり、と硬い地面に叩きつけられ、すぐに動ける者はいなかった。
狐が吠える。
天に向かって吠える。
それに呼応するかのように、いくつもの火球が狐を中心として現れる。
狐が再び天に向かって吠えると、火球は弧を描き、雨となって里に降り注いだ。
「やはり、私一人では……」
狐は暴れ、人を吹き飛ばす、吹き飛ばされた人間は、そこからもう動かない。
ノアは悔しそうに狐に手を伸ばす。
その光景はまるで七年前、村が焼き払われたあの日のようだった。
「"嫌、一人にしないで……"」
無意識にあの光景を思い起こし、ノアは無意味に手を伸ばした。
「一人にするな、か。お主は一人になろうとしていたというのにのう」
意識が遠のきかけていたノアの前にルルニアが現れる。
「さぁ、小娘。お主は孤独か、それとも否か?どちらに転ぶのじゃろうな」
ルルニアはバカにしたように笑うするとこちらをめがけて火球が飛んでくる。
「チェンジリング!」
ルルニアがその場からいなくなり、誰かと入れ代わる。
ノアは、ただ一人諦めた様に目を閉じた。
「神々の聖域よ、今ここに顕現せよ!ルーメン・サンクタム!」
来ると思っていた熱は何かに遮られる。
ノアはばっと顔をあげた。
そこにあるのは、地面に突き刺さるレイルの杖とそれを突き立てているレイルの背中だった。
突き立てた杖を中心に椀状の光のドームが成り、火球を遮ったのだ。




