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「ハコブネにまつわる能力……。
それさえ有ればグレンデルを救う事ができる……」
ノアはぽつりと呟いて、立ち上がった。
「長老様。夜分遅くに申し訳ございません。ですが、ありがとうございました。
これで私も先へ進めます」
「うむ、達者での」
ノアはルルニアに一礼し、背を向けて歩きだした。
これからまた一人の旅路だ。
そう思って祠から抜ける瞬間、ぞわりと背筋が凍りつくようなあの感覚に襲われる。
「っ!?」
ノアは無意識に身を抱く。
座り込みそうになるのを耐えなから、外へと駆け出した。
朝が来る瞬間の藤色の空に黄金の毛並みが宝石のように鎮座する。
ノアの目の前には美しくもルクスリア達と良く似た巨大な狐の姿姿がそこにはあった。
巨大な狐はノアを見るなり、自身の周囲に炎の玉を出現させた。
その炎はふわりと浮いたかと思えば一直線にノアに向かって飛んでくる。
「ハコブネ!」
ノアはその火球をナイフで両断する。
綺麗に割られた火の玉はノアの後ろで小さな爆発を起こす。
まだ陽の昇る前の早朝だ。
騒ぎを聞き付けてやって来たのはルルニアだけだった。
「何事じゃ!」
「グレンデルの魔物です!長老様、今すぐ周囲一帯の避難を!」
「わかっておる!
……法具転回、ティターニア!」
ルルニアの髪飾りはするりと外れ、ルルニアはその長い髪を無造作に下ろす。
髪飾りは薄く、向こうが見えてしまうほどの透明になり、画面の様なものが三つにキーボードの様な物が六つ、円を描くようにしてルルニアを取り囲んでいた。




