一人ぼっちは誰?
「──これが、妾の知りうるハコブネの一族の神話じゃ。して小娘よ、これを聞いてどうする?本当に寝物語にでもするのか?」
時刻は後数時間で朝になる。
ルルニアは自分は眠いんだぞと言うように、大きなあくびをひとつもらした。
「いえ……、行きます。少しでもグレンデルの手がかりを探しに。夜分遅くすみませんでした」
ノアは立ち上がって、お辞儀をしたあとくるりとルルニアに背を向けた。
「そう言えば各国で指名手配になっている者。奴は紅いペンダントを細剣に変える法具士と言うではないか。
もしやそやつが?」
ルルニアはわかっているのだろう。くっくと喉をならして笑う。
ノアは何も言えずにいた
「無言は肯定と同じぞ」
「まぁよい。
グレンデルの封が破られたと言うのは神話を知らぬ者共にも手痛い話じゃが、ハコブネは残っておる。
"指名手配の賊を追う"と言う形で協力しようではないか」
ルルニアがノアの背中にそう言葉を投げ掛けると、ノアは驚いた様子で振り返った。
ノアはルルニアの目の前にぺたりとしゃがみこむ。
「本当ですか!」
「よい、むしろ国の頭としてもこれは見過ごせぬ事態じゃ。
早急に各国へ書簡を出さねばの」
ありがとうございますとノアは大きく頭を伏せた。
国からの後ろ楯があればグレンデルはきっとすぐに見つかるだろう。
ただしその時は大罪人として扱われてしまう。
その時の覚悟だけが、今は必要だった




