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ニアクは喜び、歓喜に震えた。
神の愛した世界はこんなにも醜く汚れる。
愛しいあの人の日々を奪った神への復讐だけが、今のニアクを動かしていた。
──ああ、なんと心地よい!アナタがくれたペンダントは私に力をくれる!
アナタが似合うといってくれたドレスは血を吸ってさらに美しくなる!
ニアクは憎悪の魔女と呼ばれ、人々から畏怖の念を惜しみ無く浴び続けていた。
その様に、神は危惧した。
このままでは自分の作った世界を壊されてしまうのではないかと。
神はアオンの前に降り立ち、こう命じた。
──魔女ニアクを殺せ、あの者がいては世界に害を為してしまう。
アオンはその言葉に、首を縦には振らなかった。
──神よ、どうか同じ人間である彼女を殺せと命じないでください。
私には彼女を殺すことが出来ないのです。
神は頑として首を振らぬアオンに低い声でこう語りかけた。
──魔女を討たねば、その剣がお前の親兄弟に向くかもしれぬぞ。
それでもよいのか。
アオンはそれだけは避けたかった。自分はどうなってもかまわない、ただ家族にニアクの刃が向けられるとなるとさあっと全身の血が引くのだ。
──神よ、お止めください。
私は神に使える巫子風情にございます。
どのようにすれば家族を守れましょうか。
神は自身の大きな翼から羽を一本抜き取る。
するとそれをアオンに差し出した。
アオンの手におさまっていた羽はマフラーへと姿を変えさらには一本のナイフへと姿を変えた。




