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冷たい記憶
暗い暗い、まるで海のそこにいるような意識の中。
何も見えない、何も聞こえない。
ただ周りには闇が広がっていた。
──暗い……
──身体も動かない……
──私は……
ノアは意識の中で目を覚ます。
そこにはひどく懐かしい、のどかな村が広がっていた。
だがそれは写し出された映像を見るように、外側から見る景色だった。
「これは、私の故郷……?」
裕福でもなければ貧しくもない、人々が手を取り合って生きてきたハコブネの一族の村。
だがこれを、彼女の夢と思わせるには充分だった。
「いえ、これは夢ですね……。だって故郷は、アーカムは……」
ノアがそう呟くと、村には七体の魔物が出現する。
巨大なサソリ、ルクスリア。巨大なハエ、グーラ。
そして、狐の魔物、白熊、緑の目をした蛇。グリフォンにドラコン。
「そうだ、私はあの魔物達を知っていたんだ……」
あの魔物達は、七年前。
確かにアーカムを焼き払った魔物達だった。
どうして忘れていたのか、それを彼女は理解できなかった。
映像は切り替わり、とある民家の中。
「私の家……」
もう戻れない、懐かしい我が家。
幸せで溢れていた自分の家。
だが映像に写し出されていた少女は、幸せとは程遠いものだった。
「昔の私……、そして」
「グレンデル……」




