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船頭には夕日に照らされるローブの人間がいた。
フードを深く被っており、顔は見えないが逆光でさらに見えず、彼の首に下げられた紅いペンダントは夕日を帯びていっそう紅く輝いていた。
「全く嫌な話だよね。ルクスリアも"グーラ"もボクの道具の筈なのにさ、全然役目を果たしてくれないよ。その上法力ばかり持っていくんだもん」
ローブの人間は呆れた様にため息をついた。
誰?と聞くレイルをハクとコクが制止させる。
「貴方は、貴方は一体何者なんですか!
どうして、その法具に手を出したんですか!
貴方も私と同じ守護者の一族のはずです!
どうして、どうして禁忌を犯してしまったんですか!」
ノアは必死になって目の前の、同じ一族だったはずの人物に問う。
しかし彼は、ただ大きくため息をついた。
「本当にボクの事覚えてないんだね。顔を見たら少しは思い出せるかな」
ローブの人間はそのフードから顔を露にする。
一目見れば女性と見間違う、癖のある長い赤毛。
血の様に赤黒い双眸。
「久しぶり、ノア。そうだね、もうキミの知ってるボクじゃないから、グレンデルとでも名乗ろうか」
彼は法具そのものの名を名乗る。
赤毛の青年はにこりとノアに微笑んだ。
その顔を見た途端、どうして今まで彼の事を忘れていたのか理解できなかった。
ノアの頭の中に、失われた記憶が津波の様に流れてくる。
「う、そ……、なんで、どうして貴方が……」




