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方舟物語  作者: 狛ノ上緒都
方舟物語・第四章
31/167

6

「ああ、ノア。すまないな。

こいつが先ほど言っていた法具好きのバカだ」


「バカってなんなんだぜー!

オイラにはちゃんとレイル・クラーニルって名前があるんだぜっ!」


バカと呼ばれたレイルはぷりぷりと怒り出す。


「レイルさん、ですね。初めまして。

私はノア・レヴァリエと申します」


よろしくお願いします、と手を差し出せばレイルは飛び付くようにその手を握った。


「紫ちゃん、よろしくだぜ!」


「あ、あの。ノアですけど……」


「紫ちゃん!」


レイルは楽しそうににこにこと笑みを見せる。

どうすればとノアは二人に目配せした。


「諦めろ、そいつぜってぇの名前覚えねぇぞ」


コクの呆れたような言葉がかえってくる。ノアは一種の愛称として受け入れることに決めた。


「レイルさん、コクさんからお伺いしたのですが、貴方が法具好きの方で間違いありませんか?」


「まっちがーいなーいないっ!

オイラの研究の専門は法具だぜ!」


「研究の専門?」


「レイルの種族、ソファイアはソフィアールと言う里において研究や知識が財産として見られている。

故にソフィアールは研究者だらけだぞ」


ノアが不思議そうな顔をすると、代わりにハクが答えてくれた。

ソファイアと言えば戦闘能力は皆無に等しいながらも、頭の回転は早く、主に知識面で活躍する種族だ。


「ではレイルさん。少しお聞きしたいことがあるのですが──」


「あれ、また友達が増えたのかい?」


突如この中の誰のものでもない声がして、その場にいる全員が声のした方へ振り返る。



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