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「連れない事言わないでよ~、俺ら寂しいんだから、お姉さんに慰めて貰いたいな~」
男は声のトーンを少しだけ上げて、媚びるように少女に詰め寄った。
「お姉さんが慰めてくれないなら、無理やり言うこと聞かせるしかないな!」
男は少女に向けて拳を振るった。
少女はそれに臆する事は無く、ただ紙一重でその拳を避けた。
それと同時に男の延髄めがけて回し蹴りを放つ。
男は膝をついて、その場に倒れこんだ。
「生意気な女だな!」
もう一人の男は懐から折り畳み式のナイフを取り出して少女に向けた。
少女はそのナイフを見て、今度こそ怯えるかと思いきや、ただくすりと笑った。
「あら、物騒ですね」
「はっ、そうだと思うなら大人しくしやがれってんだ」
少女はその場にトランクを置く。
男は降伏かと思い、ナイフを納めようとするが、少女はトランクではなく自身のマフラーをぎゅっとつかむ
「ハコブネ……!」
マフラーは光を帯びて、徐々に一本のナイフへとその姿を変える。
完全にナイフへと姿を変えると、少女はそのナイフを逆手に持って男に一歩踏み出した。
男は恐れからか口から空気だけを漏らし、ハコブネと呼ばれたナイフを防ごうと自身のナイフを構える。
「はっ!」
だがそれも無意味に終わり、ハコブネは男のナイフを綺麗に両断した。
ナイフの刃は弧を描いて落ち、同時に男は尻餅をつく。