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方舟物語  作者: 狛ノ上緒都
方舟物語・序章
2/167

2

そこは薄暗い路地だった。

光は建物に遮られ、昼でも夜の様に暗い。


大通りは明るく、活気に満ち溢れているというのにこの場所は、まるで世界から切り取られた様に静寂に包まれていた。


静寂に包まれていた路地裏から、一人の少女の声と男性二人の声が響く。


「お姉さん可愛いねぇ。

ね、良かったら俺らと遊ばない?絶対楽しいからさぁ」


男性二人は少女を囲むように陣取り、ねっとりといやらしい目と、まとわりつく様な声音で少女に詰め寄る。


少女は何も言わぬまま、下を向いている。

男の内の一人が、それが気にくわなかったのか少女の顎をつかみ、無理やり自身と目を合わせさせた。


少女は藤色の長い髪に、海の様な青い目。白く長いマフラーを巻き、それに加えて、男を魅了する体躯を紫のラインの入った黒い服で包んでいた。


「うっは、やっぱ上玉だわ。ねぇ、いくらでも払うから一緒に遊ぼうよ。

旅の資金、必要でしょ?」


男は少女の持つ大きなトランクを一瞥する。

それは旅行にしては少し大きいが、彼女がどこか旅する途中であることを明確に表していた。


おとなしく顎を捕まれていた少女はぱちんと、品のない男の手をはたき落とした。


「ごめんなさい、こちらも用事がありますので。

貴方がたと遊んでいる暇はありません」


女性らしいが、臆する事の無い凛とした声。

男性は叩かれた手と少女を見る、少女はただ上品に笑うだけだった。



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