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「ひとまず落ち着け。
食事がもうすぐ出来上がる。
出ていくならその後にしろ」
女性は踵を返し、恐らくキッチンのある方へ向かう。
2日も何も食べていない腹は、こんなときだと言うのにきゅうっと切なく鳴るのだ。
──
三人はリビングの椅子に座り、食事をとる。鉛のように重かったノアの身体は少しだけ軽くなった。
「ありがとうございます。助かりました……。
何かお礼をしたいのですが、直ぐにでもここを発たねばなりませんので……」
食事を終え、身体も幾分か動けるようになったノアはそう述べて、足早にこの家から去ろうとする。
「ノア、アンタは何をそんなに焦ってるんだ?あの魔物とローブの奴の事、知ってるのか?」
「……はい」
ノアは小さく呟いたが、それ以上は語らなかった。
「ノアと言ったなお前の話はコクから聞いている。
何か困っている事があるのなら言ってみろ。
力になれるかもしれん」
目の前の女性は古風で少し高圧的だが、その声音はどこか優しげだった。
「えっと、貴方は……」
「ああ、すまない。名乗るのが遅れたな。
わたしはリュウの民が一人、ハクだ。そこにいるコクの姉だ」
ハクと名乗った女性は凛とした様子を崩さずにふわりと笑って見せた。
二人はまるで鏡写しの様にそっくりだが、ハク曰く双子ではないと言う。




