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方舟物語  作者: 狛ノ上緒都
方舟物語・第一章
10/167

5

人混みをかき分け、街の中央に出ると、そこには禍々しい雰囲気と気配に包まれた、一目で邪悪とわかる巨大な魔物と思わしく紅いサソリがいた。


そのすぐ側にはローブをまとった人間がいるが、フードを深く被っており、顔や性別はわからない。


ただひとつわかるのは、あの人物が 巨大なサソリと関係があるということだ。

通常の魔物は動物の体内に存在する法力による暴走だが、あの魔物は他の魔物と一線を凌駕していた。


「なんだあの魔物!」


「あんなもの見たことがない!」


「それよりも騎士団に連絡だ!」


周囲の人間はあわてふためくばかりで、おそらくサソリを従えるローブの人間は、すうっとその手を民衆に向けた。


「ルクスリア、行け!」


巨大なサソリは命じられるがままに民衆へと襲いかかる。

進む度に石畳をばきんばきんと容易く踏み潰し、巻き込まれれば一貫の終わりだと思わせるには充分すぎた。


民衆は恐怖で動くことが出来ないのか、皆その場に立ち尽くすばかりだった。

巨大なサソリが迫る。


皆誰しも動けない状況の中、コクは巨大なサソリの前に陣取った。


「シロガネ!!」


コクがそう叫ぶと、サソリの目の前に白銀の刀でできた巨大な壁が出現した。


「なにやってんだ!逃げるか騎士団呼んでこい!!」


コクがそう叫ぶと、民衆はようやく我に帰ったのか悲鳴と共に逃げ惑う。

巨大なサソリはコクが抑えているとはいえ、ひたすらシロガネの壁に毒尾を打ち付けていた。



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