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人混みをかき分け、街の中央に出ると、そこには禍々しい雰囲気と気配に包まれた、一目で邪悪とわかる巨大な魔物と思わしく紅いサソリがいた。
そのすぐ側にはローブをまとった人間がいるが、フードを深く被っており、顔や性別はわからない。
ただひとつわかるのは、あの人物が 巨大なサソリと関係があるということだ。
通常の魔物は動物の体内に存在する法力による暴走だが、あの魔物は他の魔物と一線を凌駕していた。
「なんだあの魔物!」
「あんなもの見たことがない!」
「それよりも騎士団に連絡だ!」
周囲の人間はあわてふためくばかりで、おそらくサソリを従えるローブの人間は、すうっとその手を民衆に向けた。
「ルクスリア、行け!」
巨大なサソリは命じられるがままに民衆へと襲いかかる。
進む度に石畳をばきんばきんと容易く踏み潰し、巻き込まれれば一貫の終わりだと思わせるには充分すぎた。
民衆は恐怖で動くことが出来ないのか、皆その場に立ち尽くすばかりだった。
巨大なサソリが迫る。
皆誰しも動けない状況の中、コクは巨大なサソリの前に陣取った。
「シロガネ!!」
コクがそう叫ぶと、サソリの目の前に白銀の刀でできた巨大な壁が出現した。
「なにやってんだ!逃げるか騎士団呼んでこい!!」
コクがそう叫ぶと、民衆はようやく我に帰ったのか悲鳴と共に逃げ惑う。
巨大なサソリはコクが抑えているとはいえ、ひたすらシロガネの壁に毒尾を打ち付けていた。




