表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
方舟物語  作者: 狛ノ上緒都
方舟物語・序章
1/167

マフラーの少女

「──小さな意思は、やがて大きな力となる」


遥か古、たった一つの、世界を怨む誰かの悪意から生まれた、世界を滅ぼせる程の力を持った悪魔の道具があった。 それは何年、何千年ととある一族に封じられていた。


そして、その道具を封印し続ける使命をもった少女と少女に起こった悲劇


それは物語の始まりでもあり、少女の運命の始まりでもあった。


──この物語を我らが一族に捧ぐ。

人の命とは儚いもので、一度失えば二度と戻ることはない。

ある少女は、それを頭では理解していた。


だが、目の前に広がる赤い血溜まりと、その上で横たわる両親。

その光景を理解することは出来なかった。


少女は目の前で血に濡れた突剣を持つ少年に、ただ問いかけるしかない。


"どうして"と。


幼い少女は目の前の光景にただ錯乱するのみで、その両目からぼたぼたと大粒の涙を流していた。


少女は息は少しずつ荒くなり、ろくに呼吸も出来ずただ喘ぐばかりだった。



"ごめんね"


少年は泣きじゃくる少女に向かってそう呟いた。

少女は嘘だと泣き叫び、膝をつく。


顔を覆って、少女は泣き続けた。


"嘘じゃないよ"


少年は少女ににこりと微笑む。

その笑顔はとても優しいもので、まるで現実離れしたような笑みだった。


少女はそれを引き金にその場に倒れる。

少女の幸せに満ちた物語はここで終わり、彼女の長い長い物語はここから始まるのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ