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Prince of Stealer  作者: FEN
4/16

暗転

盗賊の仲間入りをした主人公。

だんだんと打ち解けて行きます。

そして王都奪還の為の作戦準備が整います・・。


〜〜〜〜

今まではシリアスな感じで進んでいましたが

少しづつギャグパートが混ざってきます。

盗賊団には色々な人達がいた。


力自慢の大男や軽業師の様な細身の者

変装を得意とする者、情報を聞き出すのが上手い者

女性や子供達にすらその能力に長けている者もいた。

だが中には、病弱で寝込んでいる子供もいた。


馴れて来る頃には、子供達の相手をして過ごした。

元気な子供達にはお得意の剣を教えた。


短剣だとやはり勝手が違うが、昔隊長に教わった

「基本はどんな武器でも、その特徴を理解すること

体重の掛け方・剣の運び方次第で決まる。」

と言うのを思い出し、すぐにコツを掴めたので

多少は教えることができた。


寝込んでいる子には、読んだ本の知識を披露した。

もっとも勉強をサボっていたので

博識などには程遠く大まかな知識しかないので

細かい部分については誤魔化しておいた。


盗賊団の子供達はとても器用で

針金のようなもので

容易く玩具の宝箱の鍵を開けていた。


見ていると簡単そうだったので

試しにやらせて貰ったが、全く開かず

失敗すると飛び出す仕掛けに大層驚き

子供達の爆笑を誘う結果になってしまった。


この玩具はあのガタイの良い男

つまり頭領の発案らしい。

これで解錠の腕を磨くという訳だ

1ヶ月もする頃には

10回に1回ぐらいは開けられるようになったが

元々細かい作業は苦手で盗賊には向いてないようだ。


まぁ当然と言えば当然なのだが・・・


段々と自分に掛けられている賞金額も

アップしているらしい。


2ヶ月目の半ば、子供一人見つけられないとあっては

諸侯に面目が立たないからか

自分に掛けられた賞金も結構な金額になり

1ヶ月ぐらいは、食べ物に不自由しない程に・・・。


それは、叔父の息子の誕生日が近づいており

その式典の前に面子を保ちたいのと

不安要素を取り除いておきたいのだろう


元々頼ろうと思っていた辺境伯は

既に討たれてしまっているようだ。

ただ、王国の南側を治める公爵は

元々叔父と不仲のため中立を保っているという


南の公爵は、その先に住む戦闘部族にも顔が利き

しかも治める地は武器の都でもある。

ここを味方にできれば 、道は開けるだろう。

とのことだった。

ただ、そこへ向かうには

どうしても王都を通らなければならない。

綿密に計画を立てなければ

すぐに見つかってしまうだろう。


かといってゆっくりもしていられない

他の地域の紛争が沈静化してしまえば

交渉次第で公爵を傘下に迎えることも可能であろう。


自分一人では何もできないのはわかっていたが

一人じりじりして過ごした。


一週間後、遂に準備が整ったと連絡があった。

叔父の息子の誕生日祝いということで

宝石や絹などを献上する事になっているらしい


本来、義賊行為を行うこの盗賊団には

献上するような贅沢品はないのだが

敵国の商人を襲い金品を調達してくれていた。


自分達の生活を潤す事も出来るだろうに

そのお金を使ってくれるという・・・


本当に平服をしなければいけないのは

自分の方かもしれない・・・


作戦というのは、献上品の荷物に紛れ

王都付近へ行き、本隊と別れ、森を迂回

そのまま武器を仕入れる名目で

南へ向かう本隊へ合流する。


という作戦だ。

コレで各地に張り巡らされた

検問所は突破できるだろう。


南側にも検問所が、全くない訳ではないが

いざとなったら、迷惑にならないよう

自分だけで何とかしよう。

そう決めていた・・・。



作戦当日、頭領が選んだ4人と志願者の1人で

王都へ向かうことになった。王都まで距離があるため

夕刻に出発し、夜を徹して王都へ向かい

翌朝到着する予定だ。



暮れ刻に検問所へ向かえば

兵士達の疲れも溜まっており

検問所の閉鎖時刻も近いため

ろくに検査もされないだろう。という訳だ


実際、案の定身の危険を感じないまま

最後の検問所を無事に通り過ぎることができた。


始めの方はビクビクしていたが

だんだん危機感も薄れ、最後は声のしない方から

ちょこっと顔を出したりしていた。



朝方、二手に別れ森を迂回し

南門が見える丘で待つことにした。


こちらには、あの時担いでアジトへ運んでくれた

大男が一人ついてくれた。

そこで用意していた朝食を取り

雑談しながら本隊の到着を待っていた。



そういえばアジトで目覚めた時

平民の服装をしていた。


だから頭領もなかなか気がつかなかったのだろう

だいたい予想はつくが、気になったので

着ていた服がどうなったのか大男の聞いてみた。


「!?なっ、何を急に言い出すんで?

ささっあっしの分の干し肉も食べてくださいよ」

きっと衣服を売って細身の男と山分けし

飲み代にでもしたんだろう


今まで世話になっているし、怒るつもりは全くないが

あの羽織は、ふかふかしていて

なかなかお気に入りだったのに!!

これだから盗賊は・・・


その丘には少し大きな川が流れていた。

川は海へとつながっているらしい。


海は大きくて水はしょっぱく

その水から塩がとれるらしい。ウトウトしながら

勉強をしていた本に、確かそう書いてあった。

川の水は何処から来るのだったか・・・。


どうせ海の水から塩をとった商人が

湖にすてて溢れた水が川にでもなるんだろう

きっとそんなところだ・・・


そうこうしているうちに本隊が到着した。


ここから先は、丘が続き少し道も険しくなる。

急がないと最後の検問所で足止めを食ってしまう


―――その矢先、志願者の男が足を捻ってしまった。

これでは大幅に遅れてしまうだろう。


だが男は、足手まといになるのを避ける為か

ここで少し休み、後からゆっくり向かうので

気にせず先に行って欲しいと言った。


男の提案を受け入れ、先へ向う事にした。

それならば、一刻程度で

丘を一つ超えられるだろう・・・


志願者の男と別れ、丘を下ってゆく。

半刻もしないうちに高低差で姿が見えなくなる。


その先の丘を登りきった所で異変を感じた。

いない・・・居ないのである。


あの志願者の男は確か病気の子供の父親だ・・・

嫌な予感がする。

「先を急ごう!」


ここは一本道だ、追手がきた場合

脇道へそれてやり過ごすことすら出来ない。


もう一つ先の丘の頂上へ到着した時

砂煙をあげて走って来る一騎の王国兵の姿が見えた。

王国旗を掲げているので、間違いないだろう。


「谷側でわざと脱輪させて

立ち往生しているように見せよう。

王子はその間に隠れて下さい。

いざという時は南の村で落ち合いましょう。」


促されるまま、岩場の影へ隠れた。

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