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出会い

『フォ~リンラブ、ロマ~ンスの神様この人でしょうか~♪』


鼻歌を歌いながら家路を急ぐ洋志、途中で小さな公園の前を通り過ぎようとして足を止める。


それは不思議な光景だった。


街頭に照らされて夜空を見上げる一人の女性、深夜0時を過ぎたこんな夜更けに何をしているのだろ?

そんな好奇心からなのか洋志は思わず女性に声を掛けていた。


『今日は雲もなくって星が綺麗ですよね』


その声に気づき女性が洋志の方を向いた。


その瞬間洋志は声を掛けた事を酷く後悔した、女性の目元は涙で化粧が崩れ頬にはくっきりと涙の跡が残っていたからだ。

一瞬言葉に詰まったが


『あぅ・・・あのぉ・・・すみません、てっきり星を見てるものだと勘違いしちゃって』


すると女性は


『いえ・・・急に声を掛けられたから少しビックリしちゃった、星を見てたんですよ』

そういって少し顔を微笑ませた。


『でも・・・・涙の跡が・・・・・』洋志が少し困った様に答えると


『やだぁ・・そういえばさっきまで泣いてたんだった、星に見とれていて忘れてたわ・・フフ』


そういって笑った女性の笑顔は少し寂しげだった。

その顔をみて思わず洋志は言った

『あの・・何かあったんですか?』


その言葉に女性は少し困惑した表情を見せた。


『いや・・・すいません、見ず知らずの男が聞くことではないですよね、でもクリスマスの夜中に女性が一人で泣いてるなんてちょっと気になってしまったもので・・・・』


その時1台の車が公園の前にある自販機の前に止まった。

自販機で飲み物を買おうと運転席の男が車のドアを開けた時、カーステレオの曲が漏れてきた。


『この曲・・・・』そういって女性は少し表情を曇らせた

『山下達郎ですね、この時期になると色々な所で耳にしますよね』洋志が答えると


『私、今はこの曲好きじゃないかも・・・・』女性の答えに洋志が理由を聞こうとしたが洋志の言葉を遮る様に女性が話し出した。



『実は今日ね、私振られたんですいや・・・正確には振ってやったんです』


女性は今日の出来事を黙々と話し始めた。

会ったばかりの見ず知らずの男性に話す内容ではないはずなのに、話を聞きながら洋志はそう思ったが

ただ黙って女性の話を聞いた。


一通り話し終わると女性は突然笑い出して言った


『変ですよね、見ず知らずの名前も知らない男性にこんな事話すなんて・・・私今日はちょっとどうかしてるのかな?』


『いや・・そんな事ないですよ、あっ、俺洋志、春間洋志って言います』


洋志が名乗ると女性も


『私は宮田和希です、和希ってなんだか男っぽい名前でしょ?』


『そんな事ないですよ、むしろカッコイイと思いますよ』


『ありがとう、そんな事言われたの初めて・・・ふぅ~・・・』


和希は一つため息をつくと


『話を聞いてもらったら何だかちょっとスッキリしちゃった、春間さんありがとう』


『いや・・・そんな・・・俺なんて何にも・・・・』なんと言ったらいいか分からず言葉を濁していると


『そろそろ帰りますね、最悪のクリスマスだと思ってたけど・・・春間さんに会えて少しはいいクリスマスになりました、それじゃおやすみなさい』


そう言って軽く会釈をして和希は歩き出した



『あ・・・ちょっと・・・あのこれ・・・』洋志はコンビニの袋からさっき買った缶コーヒーを渡した。


『えっ・・・いいんですか?』

『はい、寒いですし、温まりますよ・・・・・・メリークリスマス』


少し照れながら洋志は言った。


『メリークリスマス・・・』和希も微笑みながらコーヒーを受け取った。


その笑顔は洋志にとって最高のクリスマスプレゼントになった。


クリスマスの運命的な出会いから発展はなかった。


洋志は連絡先を聞かなかった事に後悔していたが、あの状況で聞くのも野暮な話だとも思っていた。


しかしひょんな事から運命の歯車は動き出す。


その年の大晦日、洋志は一人で近くの少し大きな神社へと御参りに来ていた。



本来なら誰か友達と来る予定だったが、クリスマス前に出来た即席カップル達はまだ別れずに続いていたからだ。



ゴーン!



時計の針が0時を指すと同時に除夜の鐘が鳴らされた。


本堂でお参りをしてお神酒を貰う、おみくじでも引いて帰ろうとおみくじ売り場へ向かうと背中越しに声を掛けられた。


『春間さん?』


その声に振る返るとそこにはクリスマスの日に出会った和希が立っていた。


『やっぱり、春間さんだ~。凄い偶然ですねビックリです』

洋志はあまりの衝撃的な出来事に言葉を返せずにいる。



すると和希はあたりを見廻したあと聞いてきた


『ひょっとして一人ですか?』


その言葉に我に返った洋志は慌てて答えた。

『は・・はい、友達と来る予定だったんですけど皆彼女を優先されちゃって・・・』


『へ~そうなんだ~・・・・ふ~ん・・・』


そう頷きながら少し考えた後に


『実は・・・私も一人なんですよ・・・』


その言葉を聞いて洋志は咄嗟に和希を誘った。


『あっ・・じゃ・・あの、よかったら一緒に出店でも回りませんか?』

洋志の言葉に和希は満面の笑みで答えた


『はい!喜んで・・・・よかった・・・』


『えっ?よかった?』

『あっ・・・はい、実は誘ってくれるかなって思ってちょっとカマを掛けてみたんです』


そう言って照れ笑いする和希を見て洋志は何故だかドキドキしていた。


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