第五話「魔物って高いです」
第五話「魔物って高いです」
ステラとアルは代理店にある購買部に向かった。購買部のマスターであるオークが高笑いをしながら二人を迎える。
「はははっ! ステラ、もうアル様の貯金箱は閉店か?」
「うぬぅ……何やら小馬鹿にされている気分じゃ」
「大丈夫だよ。マスターは豪快なだけだから」
「おう、お客様は神様ってやつよ! それで、今日はどんな用事だい?」
「そうですね……スライムの種を貰いたいです」
魔王が配下を作る方法は大きく分けて二つある。一つは十分に成長した魔物や悪魔を金で従えること、もう一つは種から育てることだ。当然雇用には多額のお金が必要になるので、駆け出し魔王にとって種は御用達である。
「スライムの種だな。銀貨一枚になるぞ」
当然、種であってもかなり高価だ。だからこそ魔王は崇拝されている。
二人は基本中の基本となるスライムの種を購入しダンジョンという名の荒野に戻る。
「それでは……水を用意しましょう。それと大地を耕さないと」
二人は近くの川から水を汲み、なけなしのお金でクワを購入して大地を耕した。
「ふぅ……こんなものでしょうか」
ステラは額に浮かんだ汗を拭った。一辺数メートルくらいの畑ができあがる。
「水はこのくらいでいいのかの?」
一方で、アルは小さな器で少しずつスライムの種に水を与えていた。徐々に肥大してきており、その表面は瑞々しい。
「はい、ばっちりです! それじゃあその種を植えましょう」
ステラは畑にスライムの種を植えた。アルは祈るようにしてその様子を見守っている。
「……のう、スライムが生まれるのはいつなのかのう?」
「そうですね、ざっと三日ほどでしょうか。その間にダンジョンのコンセプトも考えましょう」
「うぅぬ……我にそのようなことはできぬが」
「代理人に任せて下さい!」