第二十六話「人間たちの逆襲を探って」
第二十六話「人間たちの逆襲を探って」
ステラたちは襲撃の後始末をしていた。壊れた壁の修復、魔物たちの埋葬、そして牢屋の建設。ステラの指示で魔法使いと僧侶は同じ部屋に、戦士は隔離され幽閉されていた。
「……ね、私たち舐められてる?」
「そ……そんなことないと思いますが」
その見張りをしているのはスラミーだけ。他の魔物や悪魔は料理を運ぶこと以外に一切来ていなかった。
「これってさ、頑張れば突破できそうじゃない?」
「そうですね……スライムだけなら私たちだけでも」
「止めておいた方が良いですよ」
そこにステラが初めて訪れる。完全に安心しきっていた二人は後ずさり警戒した。
「この牢屋には魔法を封印する処置を施しました。魔力が使えないあなた方では我が軍最強のスライムを倒せないでしょう」
これはステラのハッタリに過ぎない。実のところ、事態の収拾のため人員を割いた結果他に適任な魔物がいなかったためである。
「最強のスライム……」
しかし二人には通用したようだ。
「……ところで、貴女は?」
「私ですか? そうですね……魔王の右腕とでも称しておきましょうか」
「魔王の右腕っ!? な……なら、教えてよ! あいつはどこにいったの!?」
戦士のことを言っているのだろう。魔法使いは食らいつくようにしてステラに迫る。
「そうですね……会いたいですか?」
「あ……合わせて下さるのですか!?」
僧侶もまた格子を強く揺らして訴える。
「なら、交換条件です。貴女たちの背後には一体誰がいるのです?」
「背後って……」
二人は顔を見合わせて不思議そうな顔をしている。ステラがこの様な取引をしているのには理由があった。
ある満月が綺麗な夜、その悲劇は起こった。ステラと同じ新人のダンジョン経営代理人ルーテシアはその惨状を見て言葉を失っていた。魔物や悪魔たちが次々とやられ吹き飛ばされていく。魔王は必死に抵抗するもののその圧倒的な力の前に為す術もない。
「……これで、終わりだ」
黒いオーラを纏った人間が剣を一振りすると遂に魔王は絶命した。
このような地獄絵図がステラたちのいる地域で発生しており、ダンジョンの半数近くは壊滅。残り半数も壊滅的な被害を受けていた。
この事態を受けて代理店は代理人たちを緊急招集。事態の調査に当たるよう命じた。
「……さて、答えて下さいますか?」