鏡写し
震える肩、硬くなる声。なんだか笑いたくなる。
「よろしくお願いします!」
無理やり出したような低い声は目の前の少年には違和感しかもたらさなかった。
きっと、そのままの方が素敵だと思うのにな。
そんなことを思うのは私もその口、だったから。
「私女らしくする、中学入ったら」
そう決意して同じ中学に行く数少ない友人に伝える。はっきり言って友人にぶち壊しにされる可能性が一番高いから。
友人は納得してくれた、一応。どこまでできるのやら、と言う視線は気にしないふり。
僕……いや、私だって女らしくできるっての。いやできるからね。
そんな中学時代。
結論から言うと、あっという間に元の自分に戻った。
なんていうか、我慢できなかった。
だっておかしいよ。男子ばかりの意見が通るというのは。男女平等でしょ。少なくとも意見を持ってる子の意見は言ってあげてたら、男子と見事に衝突しました。
いや、女は黙って従うっていつの時代だよ。とか思いつつ口論しました。もちろん手は出さなかったですよ、向こうも。
まあ、こんな感じで男子ともそれなりの距離を保つことに成功したわけですが、最初のキャラが完全にいじるネタにされてね。
確かに、女らしいってキャラじゃないよ。女の子からも頼りにされるよ、いろんな意味で。
でも少しくらい女の子女の子したっていいじゃない。とか思ってた。
分相応と言うものがあるんだね。
と言うわけで今に至るわけだが。
あの少年絶対無理してると思うんだ。素でいたら絶対気に入る自信がある。って何を言っているんだろう私は。
別に興味があって、同類だと思って興味があるだけ、うん。
「あのさ、ちょっといいかな」
なんて言うのも、ちょっと忠告するだけ、のはず。だよね、私?
これからどうなるかなんて……ていうか、何もないから!
繋げようと思えば長編にもできそうですよね、これ。
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読んでいただきありがとうございます。