これから始まる期待と不安と・・・
僕は今日、この場所に引っ越してきた。春から親元を離れ遠い学校に通うことになったため、学校の近くに建っている、この【おとなし荘】にやってきたのだ。名前からして、おとなしそうな人が居そうな感じが出てるけど、まさか・・・そんなハズ・・・ないよね?ここは、学生さんや社会人が住んでいて、一緒に暮すような所だ、って言われていたから多分シェアハウスみたいなんだと思う。というか、そうなのか?まぁ、どちらにせよ、住人さんとは仲良くしなきゃね。
でも、いざ目の前にすると緊張が・・・。僕が見る限り、下は空洞になっているから、きっと車が置ける場所で、二階から部屋になるのかな?階段ついてるし、階段上がったところがおとなし荘に入れる入口みたいだし。・・・何て言うか、これからやっていけるのかな?心配になってきた(涙)おとなし荘の前で立ち尽くしていると、一人の男性が僕に話しかけてきた。
「あれ?この建物の前にいるってことは・・・何か用があるの?」
「あ、えっと・・・。あの僕――――。」
ここの住民になるのですが、と言おうとしたら見事に遮られ、男性はほほ笑んだ。
「わかった、君、白鳥君だね?」
「!?」
「君のことは大家さんから聞いてるよー。そっか、今日が引っ越してくる日だったね。みんなも待っていると思うから、一緒に入ろうか。」
にこにこさせた顔を輝かせながら男性は僕の手を掴んで、階段を上った先にある入口まで連れて行ってくれた。さっきまで緊張していたのに、今は少しほっとしている。
(この人も住人なんだな。親切にしてくれる人もいるってことだから、少し安心した。)
男性が扉を開けると、そこにはドアがたくさんある通路になっていた。右手にはエレベーターがあって、左手には男性用トイレがある。僕はすごく目を大きくさせ、心臓はさっきよりも速く動いているのがわかる。緊張してるんじゃない、きっとこれからの日々が余りにも嬉しくてたまらないんだと思う。本当に、さっきの緊張が嘘みたいだ。男性は僕の表情に気づいきたのか、クスッと手で口を押さえ笑う。
「クスッ―――、白鳥君可愛いー。そんなに嬉しいんだね、でも僕もわかるよ。初めて入った時は、今の白鳥君のようなリアクションしていたからさ。」
僕は見られて恥ずかしかった。まぁ、喜びが隠せないほどだったんだろう。少し顔が熱くなり、顔をそむけていると、男性は「こっちに来て」と僕に言い、手招きしながらエレベーターに乗った。僕も慌てて男性の後に続いて乗る。
「にしても、白鳥君おもしろいねー。どんな子なのか気になってはいたけど、これからもやっていけそうな子で僕としては嬉しいよ。あ、そうそう、今から行くところはね最上階なんだけど、キッチンやお風呂、洗濯機とか、テレビとか、とにかくみんなが集まってわいわいする所なんだ。多分、みんなもそこに居るはずだから、紹介しなきゃね。あっ!そういえば僕の名前言ってなかったよね?僕は川上聖二、よろしくね。白鳥君。」
「あ、はい!こちらこそ、よろしくお願いします。」
凄く楽しそうに話す人だな。顔もにこにこしてるし、本当にいい人そう。そんなこんなで川上さんとの挨拶を終えると目的地に着いた。チャイムが鳴ると同時に僕の鼓動も高鳴る。一体どんな人がいて、どんな生活が送れるんだろう。そして、扉が開く。
そこには、仕切りもない広くて大きな部屋で、料理をしている人もいれば、ソファに寝っ転がっている人もいる。
「はい、到着~。ここがみんなで集まる場所でーす♪どう?白鳥君!凄いでしょ?」
川上さんの声で部屋にいる全員が、僕を見た。一気に緊張がこみ上げてくる。すると、僕より少し背の低い中学生のような体系をした女の子が目を輝かせながら僕に近づいてきた。
「ねぇ!君、今日から住み始める白鳥君だよね!?わたし、野田美春!!ちなみに205号室だから、用がある時は訪ねていいから!これからよろしくぅ~!」
野田さん、元気があって、明るい素敵な人だな。僕より小さいから、きっと中学生かな?でも、おとなし荘には中学生は入れないはず・・・。誰かの娘かな?でも、周りにはそんな大人な人見当たらないし・・・。すると、野田さんは他の人のことを紹介してくれた。
「えーっとね。今キッチンに居る人は松葉さんって言って料理上手で頭も良いの!それでねー。ソファに寝っ転がっているのは香川君って言って女嫌いなんだー。」
だから、松葉さんはみんなのご飯を作っているんだ。凄いな。それで、寝っ転がっているのは香川さんで・・・ちょっと目つきが怖い・・・。
「あとね、テレビを視ているのは菜乃華ちゃんと椎奈ちゃんだよ。本当はほかにもいるんだけど、お仕事とか部屋にいたりとかでここには居ないの。だけど、夕飯になったらみんなそろうから、その時改めて自己紹介しようね!」
「わかりました。ありがとうございます、野田さん。ところで野田さんは中学生ですか?」
余りにも聞きたくて尋ねてみたけど、魂が抜けたような表情になった・・・。しかも、隣にいる川上さんは笑っているし・・・。僕、変なこと言ったかな?
「あの・・・どうかしましたか?」
「プッ、、クスクス――――。やっぱり白鳥君、、、おもしろいや(笑)女の子に身体に関することや数字は聞いてはいけない、とか学校で女の先生か誰かに教わらなかった?」
川上さんが笑いを堪えながら話すから、声が震えてる。
「いや、確かにそんなこと聞いたような気はしますが、そこまで悪いことなんですか?」
「悪いって言うか、女性は身体に関することとか気にしているでしょ?だから、気にすること言われたら嫌なんだよ?わかった?」
「は、はい・・・。気をつけます。」
魂が抜けていた野田さんが、急に意識を戻し僕に対して怒った。
「ひどいよー白鳥君!!わたし中学生じゃないよ!高校生だよ!ちなみに白鳥君より一つ上なんだからね!!」
なんと、僕より小さい野田さんは、年上・・・!!!!なんで!?あり得ない!こんな幼い子が!?でも、涙浮かべながら僕に言うぐらいなんだから、そうなんだよな。きっと・・・しかも悪いこと言ってしまった・・・。
「えっと、すみません。余りにも幼い顔立ちだったので。」
「ふぇ!?」
またもや野田さんが気を失う。川上さんもまた笑ってるし・・・あれ?また変なこと言ったっけ・・・?
「白鳥さん、川上君が言っていたこと本当にわかりましたか?」
僕に言ってきたのは、さっきまでキッチンにいた松葉さんだった。エプロン姿で料理を皿に盛り付け、テーブルに置き、僕を見た。
「初めまして、白鳥さん。このような格好で挨拶するのは申し訳ないと思うのですが、松葉雅由と言います。これからよろしくお願いしますね。」
僕は余りにも松葉さんが行儀のよい人だったため、何も言えず少し焦りながらお辞儀した。
「松葉さん紳士だよねー。素敵でしょ?」
口を挟んできたのは川上さんだった。まだ少し笑っているけど。というか、本当にこの人は喋るの好きなんだな・・・。
「ちょ、川上君そんなこと白鳥さんに言わないでください。恥ずかしいですよ。」
少し照れ顔で恥ずかしそうに、川上さんに注意した。松葉さんの照れ顔男性にしては可愛い・・・。高校生かな?大学生かな?社会人・・・?でも、そこまで大人びた顔はしてないから、やっぱり高校生かな?
「えっと、昼食作ったのでみなさん食べましょう。早く食べないと、冷めてしまいますよ。」
松葉さんの声で他の人たちも動き出した。
「わーい!今日のお昼はチャーハンだー!!わたしお腹空いてたんだよねー!」
さっきまで気を失い、ほったらかしにしていた野田さんがお腹をさすり、餌をもらえる犬のような表現をしながら、位置につく。そしてテレビの前にいた女の子達も座席に座った。
「椎奈、お腹すきました!」
「私も・・お腹すいた・・・。」
野田さんが紹介してくれた、菜乃華さんは大人しそうだな。ちょっとおろおろしてる。そして、目つきが怖そうな香川さんは、女性陣をにらんでいる?ような感じで、機嫌悪そう・・・。僕、歓迎されてない?
「そういえば、白鳥君。部屋の片づけ良いの?」
「あ!忘れてた!!い、今からっ。」
「白鳥さん、食事をしてからにしましょう?せっかく白鳥さんのお皿も用意した訳ですし、片づけは大変でしたら私たちも手伝いますし。ね?」
な、なんて優しいんだ松葉さん(泣)本当にここの人たちはみんな優しいなあ。
「はい、はーい!!私も手伝うよ!!ささって片付けちゃうんだからね!!」
「な、ならば椎奈も手伝うです!!」
「わ・・・私も。」
本当に優しい・・・。
「俺は新入りの手伝いなんて、しねえからな。」
香川さんが口を開いた。やっぱり機嫌悪いみたいだ・・・。仲良くやっていける自信がないorz
「なんでそんなこと言うの!?新入りでも今日からは家族みたいになるんだよ!!」
「そうだよ?光君。いくら新入りが嫌いだったとしても、野田ちゃんなんて小さくて使えないかもしれないのに軽い荷物とか自分に合う手伝いをするんだよ?野田ちゃんを見習いなさい!?」
「えー!!ちっちゃくないよ!!それに重い荷物だって持てるんだからね!!」
え、軽くひどいこと言ったよね。川上さん・・・。川上さんってそんなひどいことさらっと言うんだな。さっきまで優しいと思ってたけど、間違いかな?それに野田さん『使えないかも』って物扱いされているの気付いてない・・・。
「あー、そっか。『使えない』なんて言ったら失礼だよね。今後気を付けるよ、白鳥君。」
川上さんほほ笑みながら僕に言ってきたけど、本当に気をつけようと思っているのかなー?・・・。その前に、僕さっき思っていたこと声にだしてたっけ!?(汗)え!?声に出してないのになんで!?慌てて川上さんの方を向くと―――――。
「あはっ(ニコッ」
読まれてるーーーー!!!!川上さん怖すぎっ!何者だよっ!!!
「とにかく、食事は始めましょ?川上君、白鳥さんいいですか?」
「あ、はい!すみません。」
「ごめんね、紳士な松葉さん。」
「では、手を合わせて・・・・。」
「「「いただきまーす!!」」」
一同で食事の挨拶をした。松葉さんの作ったチャーハン・・・おいしい。昔から作っていたりしたのかな?じゃなきゃ、こんなに上手には・・・。本当においしい。
「白鳥さん、味どうですか?」
「あ、おいしいですよ!!すっごく!!松葉さんどうしてこんなにおいしく作れるんですか?」
「えっと・・。」
「パティシエだからだよ。」
↑の言葉を言ったのは、他の誰でもない。そう、川上さんだった。って、えーーーーー!!!!松葉さんって大人!!??
「お恥ずかしい・・・。そうです、川上君が言ってくださったように、私はパティシエです。それに、よくレストランでバイトしていたとき、調理していたことがあったので、そこで多分身に着いたんだと思いますよ。」
「でも、そのおかげで椎奈。毎日美味しい料理が食べられる!!凄く幸せ!」
椎奈さん。本当に幸せそう。心から感情がでてくるんだろうなぁ。
――――― そして、30分後 ―――――
「はぁー食べた食べたー。」
「椎奈もですぅ。お腹いっぱいです。」
野田さんも椎名さんも満足そうに、ソファに座っている。あ、そうだ、僕部屋の片づけ行かなきゃ!!みなさんに伝えてから行こっと。
「あの、僕部屋の片づけ行ってきますね。」
「わたしも行くー!!」
「椎奈も行きます!」
「私も・・・。」
「ケッ、早く行けよ新人が。」
「こらこら、香川君?駄目じゃないですか、そんな暴言吐くのは。白鳥君、野田さん、泉さん、真木さん、行ってらっしゃい。ケガしないようにね。ところで、白鳥君は自分の部屋の番号わかっていますか?」
「あ、知りません・・・。確か、着いたときに大家さんに連絡するはずだったと思うのですが。」
「あーみんな聞いて?僕が役に立つとっておきな情報を言うね?」
こんな状況に川上さんはいきなり何言うんですか!僕、今困っているのに・・・。
「白鳥君の部屋の番号はー102号室だよー。僕の部屋の前だね。」
!!!???何故、知っているの・・・?
「あー。なんでって顔しているね。それは、僕が部屋から出たとき、丁度業者さんが僕の部屋の前の部屋に、荷物を運んでいたのを見たんだ。さすがに、何でもかんでも知るわけないじゃん。」
「あははー。そうですよねー。誰だって全てを知っているなんていないですもんね。」
「そうだよー。あ、でも白鳥君。ガラスものはガラス、とかちゃんと分別してダンボールにいれるんだよ?中で、違う種類のものがぶつかり合って割れちゃうからね。」
・・・。何故、そんなところまで!?まさか、ダンボール全て開けてないよね・・・?
「川上さんすごーい!物知りだね!!」
「そんな、褒めないでよ。野田さんも僕ぐらい成長すれば、このくらい分かるよ。その前に、成長するかが問題だね。あと・・・」
「わーーーー!!!川上さん!!わたし、白鳥君の部屋早く片付けたいから、行くね!!ほら、みんなも早くいこーーー!!!(汗)じゃあ、行ってくるからね!川上さん、松葉さん、香川君!!」
「行ってらっしゃーい、頑張ってねえ。あ、僕も途中行くからー。」
「はい、頑張ってきてくださいね。」
「・・・・。ケッ」
本当に川上さん何者なんだろう・・・。まだ会ってない人もいるわけだから、他の人も川上さんみたいな・・・・。ゾクッ。お、恐ろしい・・・。会うのが、ちょっと嫌だな・・・。でも、今は部屋の片づけだーー!!
どうでしたか?
今後の展開、頑張ろうと思いますのでよろしくお願いします。