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第八十五話

きゃあきゃあとはしゃいでいる雅ちゃんをしばらく宥めていた(イチャイチャしてた?)らしい二人が、ようやくドア口に現れた。

隣に腕を組んでいる雅ちゃんもいるし、今までの話の内容から考えてもこの人って多分…



「わ、似てる…」


「ん?私がどうかしたかな?」



わわ、声に出てた!

首を傾げた男の人を、駄目だと思いつつも凝視してしまう。雅ちゃんの隣に立っていたのは、穏和そうな雰囲気を持った壮年男性。私が驚いたのはその顔。

先生をそのまま二十年くらい老けさせた感じで、どちらかと言うと(たすく)さんの方に似ている気がする。目元の笑い皺が優しそうな人柄を表しているような…。


そうかぁ。この人が先生のパパ…。


………わお。



「あ、あの初めまして!私、先生にお世話になってます神崎…あ、違う。桐生唯です!こんな急にお邪魔してすみません!しかもお部屋もお借りしてしまって!」



急いでベッドから降りようとしたけど、それを雅ちゃんに止められた。



「おや、急に起きて大丈夫かな?」


「そうよ、寝てていいのよー。亨から聞いたけど、熱出て恭輔くんに点滴打ってもらったんでしょ?安静にしてなきゃ駄目よ。」


「え、いや、でも、この部屋…」


「あら、気に入らない?せっかくこの部屋に似合う可愛い子が現われたと思ったのにー。」


「まあまあ、雅さん。この子も困ってるようだから、客室に移してあげようか。そうだ、唯…さんだったね。お腹減ってないかい?もうこんな時間だけど、軽い食事なら食べられるかな?おっと、自己紹介が遅れたね。私は翼と亨の父、蒼偉です。よろしくね。」


「こちらこそ!」



ぺこっと頭を下げると、何故か楽しげな笑い声が聞こえたけど何で笑ってるのかわからなかったので、そのままにしておいた。


でも、ご飯かぁ…。

あんまり食欲ないって言うか、お腹減って無い…。


少し困った顔をした私を見て先生のパパは苦笑しながらも、「少しだけでも食べなさい」と言ってくれたので、私も断るのも悪いなと思って、違う部屋を用意してもらうまでの間を使って食事を取ることにしてもらった。

部屋を替えて貰うと言った時に、雅ちゃんに残念そうな顔をされたけどそれは見なかったことにしておいた。先生のパパも「気にしなくてもいいからね」って言ってくれたし、当の雅ちゃんも「明日もいるんだからいいわー」っと至って楽天的な感じだったので、私も安心した。


遠藤夫妻に促されるままにリビングに連れて行かれる途中、そういえばナイトがいない事に気が付いた。



「あの…、うちの犬どこにいますか?」


「ああ、渡瀬がエサをあげてるよ。亨が持ってたカバンに入ってたエサでよかったんだよね?」


「あ、はい。すみません、わざわざ。」


「いいのよー。あの子ったらお利口で、亨の持ってたカバンから自分で取り出してたのよー。ラブラドールってやっぱり賢いのねぇ。」


「………」



ナイト…。まさかダイエット中なのわかってて、それ知らない人に開けさせたな…?

ああ、いっぱい食べてる…絶対。明日から散歩の時間増やさなきゃ。



「名前、ナイト君って言うんだって?」


「はい。Knight(騎士)から取ってナイトなんです。」


「うふふ、じゃあ唯ちゃんがお姫様で、ナイト君がお姫様を護ってる騎士なのねー。」


「あは、大げさですよ。」



そんな事を三人で言っていると、何時の間にかリビングに着いた。

今はドアが閉められていなかったので、私達が入って正面のソファーセットには三人の人が座っていた。


先生と珠緒さんはわかるけど、このお祖父ちゃんは見た事が無い。

なんか、すっごいガン見されてるような気が…。いや、気じゃなく、ガン見されてる。うん、超見られてる!!

怖っ!!



「あら、目が覚めたようね。気分はどう?」


「珠緒さん…こんばんは。あ、もう大丈夫です、ありがとうございます。それと、お邪魔しています。」


「そう?それはよかったわ。あ、紹介するわね。この人が私の主人。遠藤愁清よ。愁清さん、この子は唯さんって言うの。デザイナーで実業家の桐生総一郎氏の娘さんなのよ。」



しれっと珠緒さんに紹介された人。

それは先生のお祖父ちゃんであり、先生のパパのパパでもあり、遠藤家総帥の遠藤愁清その人だった。

珠緒さんから紹介されるまでじーっと私をガン見していた目がようやく離れ、その視線は先生に移った。



「亨。」


「はい。」


「この、『ろりこん』め!!」


「一回死んで来い、この、くそボケじじい!」


「なんじゃとー!?」



そこから何故か先生とお祖父ちゃんの言い争いが始まって(しかも低レベル)、困惑した私は珠緒さんに助けを求めようとしたのだけど、珠緒さんは珠緒さんで雅ちゃんと一緒になってそれを楽しげに観賞している始末。

唯一、先生のパパが救いの船を出してくれたのだけど、それもなんか的外れだった。



「ご飯出来たらしいから、あっちで食べて来なさい。あれには構わなくてもいいからね。」



え、笑顔でスルー?



遠藤家って…。

そんな事を思いながら、ほかほかと湯気が出ている野菜がたっぷり入ったスープが待っているテーブルの椅子に腰掛けた。



げ。


ブロッコリー…。


なんとなくまとまりが悪い様な感じがするので、もしかしたら部分的に書きかえるかもです。

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