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第七話

最近はだいぶ日が暮れるのが早くなってきたから、辺りは電灯が点り始め、既に薄暗くなっている。携帯で時間を確認すると、18時13分…。

これから部屋に戻って、お味噌汁作って、あと温野菜のサラダとー…それにあわせて梅肉ドレッシングを作ってー。あとは少し何か適当なのを作ってたらちょうどお姉ちゃん達が来る時間かな。などと頭の中で計画を立てていた。



信号が赤に変わったので、何気なく辺りを見回す。

するとちょうど反対側のお店から、見知った人が出て来るのが見えた。


あそこを歩いてるのは…有紗先生だ。


ふと綾乃の言葉を思い出した。


『遠藤先生の彼女に一番近いのは有紗先生なんだって!!なんでも、休日に一緒に歩いてるの見た子もいるみたいよ~。いやー、美男美女でお似合いだよねぇ。ま、あくまでも噂だから、真偽は不明だけどね。』


確かに、遠藤先生と有紗先生は一緒に並んで歩いても違和感がないほど、お似合いだ。

有紗先生は、お姉ちゃんとは違ったタイプだけど、間違いなく美人。

アーモンド形のパッチリした目に、少しだけぽってりした唇。なんだか女優さんみたいなんだよなぁ。おまけにスラッとしたスタイルで、自分に似合った服装をしている。

校内では彼女に憧れている女子も多く、男子に至っては年上でも彼女にしたいとまで言わしめさせている。

かと言ってそれを鼻にかけたりすることはなく、むしろ親切に教えてくれたり、生徒目線で考えてくれる先生なので、評判はすこぶるいい。


誰か待ってるのかなー。と思っていると、先生が立っている側の道路に外車が停まった。

おっ!本当に待ち合わせ!?誰だろーと興味深々でガン見してたら、信号が青に変わった。周りの人達と一緒に流れるように歩いて、少しだけ有紗先生の方を見てみた。

車の中から誰かが顔を出している。その瞬間、吸い寄せられるように先生がその人とキスをしていたのが見えた。



…え…あれって…うそ…遠藤先生…?


目を見開いて、思わず立ち止まった。

う…噂は本当だったんだー!!うわうわ、生ちゅうっ!!しかも公衆の面前!!きゃあーーー!!!

私は現場を目の当たりにしてかなり興奮してるのがわかった。綾乃と一緒にいたら間違いなく叫んでいるはずだ。その時横断歩道の真ん中で立ち止まっている私に、クラクションが鳴らされる。慌てて歩道を渡りきった。


そしてもう一度有紗先生達を方をチラッと見ると、一瞬車中の遠藤先生と目があったように感じた。


え…

こっち見た!?でもでも、私制服じゃなく私服だし、しかもマフラーで顔半分隠れてるし!おまけに暗いし、結構離れてるから見えてないよね!?見えないよね!?


内心動揺しまくりながら、慌てて目をそらした。それから急いでコンビニ袋をぎゅうっと握り直し、マンションまで半ば駆け足で帰った。



部屋に戻って荒い息を吐く。

さっき見たあれは…なんか内緒な感じしたーーー!!正直かなりびっくり。あれはかなりお似合いだわ。

大人な二人って感じで!!先生達も結婚するには早い年じゃないし、結婚とかするのかなー。素敵だわぁ…。目の保養、目の保養。

遠藤先生、タキシード絶対似合うー。有紗先生もスタイルいいから難易度高めなウエディングドレスとかでも全然平気そうだな。

まぁ、そんな事考えてたって私には直接関係無いし。お幸せにってことかしらね。


でも…さっき、一瞬目が合った気がしたけど…大丈夫…よねぇ…。

けど、先生が私の顔なんて覚えてるわけないし。うん、平気か!!


ふんふ~ん♪いい物見たなーっと気を取り直して、残りの献立の用意をし始める。


一抹の不安を頭の隅っこに押しやりながら。

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