第21.5話…翼・珠緒
ちょっと違う視点からお送りします。
「なにやら楽しそうですね、おばあ様。」
「ええ、とても楽しいわ。そして、驚いているのよ。まさか唯さんが亨の教え子だなんてね。びっくりしちゃうじゃない?いくら世間は狭いなんて言ってはみても、唯さんのお義兄さんともあなた達は知り合いなのでしょう?狭すぎるでしょう?」
「それもそうですね。それに、おばあ様と唯ちゃんが編み物の縁で繋がったのも奇縁と言う感じがしますから。」
珠緒と翼はくすくすと笑い合う。
脳裏に浮かんでいるのは、小学生のように幼いが、とても愛らしい教え子を苛立った様子で送り届けている、亨である。
「運命って感じよねぇ。」
「出ましたね、おばあ様の運命絶対論。」
「あら!信じてないのね、私の運命論。私はあの人や、あなた達の両親の時にも運命を感じたのよ。それは外れてないでしょう?当たるんだから、私の運命の勘は!!」
「はいはい、そう言う事にしておきますよ!」
「全く、信じてないのね。でもまぁ見てなさい、翼。私は絶対、亨が唯さんに夢中になると思いますよ。」
珠緒は、うふふふと笑いながら、唯が私の孫だったら良かったのにーと軽くむくれた。
それを見た翼は、やれやれ、亨も大変だな。と双子の弟に向けて苦笑を洩した。
珠緒おばあ様はロマンチスト。