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王様とおっさん~異世界はキャットGPTとともに~  作者: PYON
第五章 ガルバン帝国

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ガルバン帝国 ベリアード大帝06

 ガルバン帝国の北方には、孤高の島がひっそりと浮かんでいる。

 人々はそれを「魔王島」と呼ぶ。

 そこに棲むのは、我が国が古くから魔族と呼んできた亜人たちだ。

 歴史上、その島は形式上は帝国の領土とされてきたが、実効支配など夢のまた夢だった。


 過去、我が軍は魔族を従わせんと上陸したことがある。

 しかし、ことごとく返り討ちに遭った。

 兵力は我が国が圧倒していた。

 最新兵器、数万の兵士、整然とした隊列──それでも、あの連中には勝てなかった。

 理由は単純に「力が違った」からだ。


 獣人は一騎当千の強者ぞろいで、個々が戦闘の拠り所になる。

 エルフの弓は遠距離での命中精度が人間の常識を越える。

 ドワーフは歩く要塞のように敵弾を受け止め、巨人は文字どおりあらゆる構造物を粉砕する。

 悪魔族は恐るべき古式の魔術を操り、ゴーレムを従える者までいる。

 彼らの戦力は、我々の科学や火器の優位を一瞬で相殺してしまうのだ。


 これまで我が国は、巨額の貢物を差し出すことで、魔族との均衡を保ってきた。

 国際会議でその負担を分担しようと提案したこともあったが、合意には至らなかった。

 結果として、他国は魔族との窓口を持たず、我が国だけが「支払い手」を引き受けてきた。


 今回、その投資を回収する好機が訪れた。

 私は魔王との会談に臨んだ。

 贈り物を携え、他国が亜人を差別する体質を強調して同情を誘い、彼らの利害に触れるように話を整えた。

 思惑どおり、魔王は協力を約した。

 具体的には、精鋭百の部隊を遣わせるという。

 かつて我が軍を蹂躙したあの亜人軍が、今ここに我々のために動く──想像するだけで、戦線は一変するはずだ。


 彼らが用いるのは古代より伝わる魔術だ。

 我々帝国の魔法は理論に基づく応用魔導だが、魔族の術は由来も原理も異なり、速度と破壊力の次元が違う。

 戦車や大砲といった「器具」に対し、彼らは身体と魔法で応じる。

 彼らより、ガルバン帝国のほうが技術力は上だ。

 だが、相手にもならなかった。

 彼らの魔法の威力はこちらの攻撃を凌駕している。

 たぶん、少しくらい上等な武器を使ってもその差はうまらない。

 もちろん、銃や戦車といった武器も同じだろう。

 そんな力を手に入れられれば、帝国は一気に無敵になる。


 私は今回、十万の大部隊を投入する。

 魔王軍が開ける突破口を我が軍が一気に拡げ、王国を制圧する。

 目的は明快だ──キャルロッテ王を処罰し、あのとき受けた屈辱を晴らす。

 会議で猫を抱き、テーブルを割り、我々の側近シオンに傷を負わせたあの薄ら笑いの老人を、今度こそ権威の前に晒してやる。


 だが私の目は復讐だけに向いているわけではない。

 戦いのあとに残るのは技術だ。

 彼らの戦車、水中砲、魔術の断片──すべてを吾がものとして研究し、帝国の技術基盤に組み込む。

 そうすれば、この大陸を支配するための最後のピースが揃う。


 私は立ち上がり、未来を思い描く。

 暗黒と呼ばれた時代に終止符を打ち、新たな秩序を築く──その頂点に立つのは、他ならぬ我がガルバン帝国であり、私ベリアード大帝自身である。

 歴史に私の名を刻む日を、私は確信していた。

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