比留間明夫40
──さて。どうにか、戦争は終わった。
うまくいったかどうかは……正直わからない。
だって、ぼく、もともと普通のサラリーマンだよ? しかも中間管理職。
会議で資料を配って「それ、前回と同じ資料じゃない?」って言われる側だ。
そんなぼくが戦争の指揮なんて、とんでもない話だよね。
でもまあ……なんとか国を守れたんだから、よしとしよう。
うん、これはもう完全に、コヨミのおかげだ。
ありがとう、キャットGPT。
君がいなかったら、ぼくは今ごろ猫砂の上で転がってた。
これで、しばらく平和になるといいなぁ。
まさかガルバン帝国が「やっぱりもう一戦どう?」とか言ってこないよね?
この世界、ほんと好戦的だ。
戦争なんて、勝っても恨まれるだけなのに。
だからぼくは、賠償金とかあんまり取らないようにしてる。
恨まれたくないし。あと面倒くさいし。
……でもまあ、ちょっとは休みたいな。
本当はぼく、戦うより事務処理のほうが得意なんだよね。
どっちかって言うと「村人A」ポジションのほうが落ち着く。
とはいえ、戦後の処理が山ほどある。
書類? たぶん机の上で進化してる。もう"書類ゴーレム"レベルだ。
終電まで仕事してたサラリーマン時代を思い出すなぁ。
あの頃に比べたら、多少の政治はどうってことないか。
ここに来て少し若返った気もするし。視力も回復している。
向こうの世界では老眼がすごくつらかったからね。
ギランジル首相と会談して、これからの方針を話し合う。
この国の政治家たちは優秀だ。こんなぼくでもちゃんと話を聞いてくれる。
いや、そこは聞いてくれなきゃ困るんだけど。
とにかく、前王のときの経済制裁は解除された。
帝国はまだ渋ってるけど、共和国や連邦とは貿易が再開できる。
これからはキャットGPTの力で産業を起こして、ニャールを豊かにしていく。
輸出して、輸入して、経済回して──なんかこう、世界が"にゃんとか"良くなればいい。
もちろん、うまくいくものもあれば、コケるものもある。
自由経済って、そういうもんだ。
でも、人々が夢を持てる国にしたい。
「がんばればお金持ちになれる」って思える国。
夢はタダだしね。
さて、会議も終わったし、今日はもう予定なし。
久しぶりに、自炊でもしてみようかな。
元の世界では毎日料理してたし。レシピは頭の中に山ほどある。
こっちの世界の食事も悪くないけど、ちょっと味に飽きてきたんだよね。
よし、今日は"異世界風カツ丼"でも作るか。
ぼくはキッチンへと向かった。
──平和の味、うまく出せるといいな。
コヨミが尻尾をたててぼくの後ろをついてくるのだった。
きみにも餌をあげるからね。




