ミシディア共和国科学大臣フェルマン08
次々と飛空船が破壊されていく。
やめろ、やめてくれ。
飛空船はわたしの技術の結晶なのだ。
とにかく、これから飛び立つのをやめさせる。
それと上がったばかりの飛空船は戻し、逃げられるものは逃げるようにする。
しかし、かなり引き付けられているから、もう前線にとんでいったものは戻せない。
終わりだ。
もう打つ手はない。
もちろん、撤退も考えた。
一度引き返して、別の港を攻める。
または、体制を整える。
そう思ったが、後方の船がニャール水軍に乗っ取られているらしいのだ。
水の中から攻撃する兵器を使うことにより、後方の軍艦はほとんどが掠奪されているらしい。
ヒルヴァ副司令官も降伏をしたらしい。
それを撃破しても、沈められた船が人口の岩礁となる。
この大船団を逃がすことはできないのだ。
今回は負けだ。
もう、打つ手はない。
上陸を開始してから半日も経っていない。
「白旗をあげる。
我々の負けだ」
わたしは低い声で副官に告げる。
「承知しました」
副官は敬礼をして、ブリッジを出ていく。
今回はテクノロジーの戦いだった。
我が国はテクノロジーについては他国を圧倒していると思っていた。
しかし、ニャール王国に天才がいたのだ。
たぶん、ここからの戦争は変わるだろう。
というか、安易に戦争は起こせなくなる。
カードゲームのポーカーのように駆け引きが戦争を左右するようになる。
まあ、実際に何万人の人が死ぬことはない。
この海戦でも、我が国の被害は数千人といったところだろう。
相手は100人もいないと推測される。
これで、無駄な人命や資源をつぎ込まずに済むのは不幸中の幸いだ。
できるなら、その天才とやらに会ってみたいものだ。
さぞかし、頭のいい男なんだろうな。
しばらくして、降伏が受け入れられたと言ってくる。
さて、行こうか。
わたしは立ち上がる。
ブリッジから甲板に歩いていく。
甲板はひどい状況だった。
すべての砲が壊され、甲板は燃えて穴が開いている。
この戦艦バルカンがここまで徹底的に壊されるのだからな。
かなうわけがない。
わたしは、迎えに来たニャールの兵士に囲まれ、タラップをゆっくりと降りていくのだった。




