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王様とおっさん~異世界はキャットGPTとともに~  作者: PYON
第四章 ミシディア共和国

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ミシディア共和国海軍副司令官ヒルヴァ03

 わたしはブリッジの窓辺に立ち、戦況を見渡した。

 目に映るのは、次々と傾き、黒煙を吐きながら沈んでいく味方の船――共和国の誇る大艦隊が、まるで玩具のように海へと沈んでいく光景だった。


 その合間を、黒い小型船がすり抜けていく。

 速い。異常なほど速い。

 ミシディアにも魔導船はあるが、あれほど俊敏に海を駆ける船は存在しない。


 しかも奇妙なことに、砲門は沈黙したままだ。火を吹いた形跡がない。

 なのに船は次々と沈む。――いや、水中から攻撃しているのか。

 そうとしか思えない。だとすれば、対処のしようがない。


 海戦とは本来、帆を裂き、火を放ち、最終的には乗り込んで白兵戦に持ち込むものだ。

 だが、船底を狙えるとなれば話は別だ。

 わずかな穴でも、そこから流れ込む水は船を確実に殺す。

 わたしは過去、座礁で沈んだ艦を何度も見てきた。

 岩に擦ったわずかな裂け目すら、止めることはできなかった。

 あの黒い船は、それを自在に再現しているのだ――海戦において最悪の武器を。


「この船はもう持ちません! 副司令官、避難を!」

 部下が叫ぶ。


「……しかたない」

 わたしは静かに答え、避難艇へ向かう。

 艦長は船と運命を共にすると言った。潔い男だ。わたしは一礼し、背を向けた。


 避難艇から振り返れば、地獄絵図が広がっていた。

 最後尾の船はすべて破壊され、退路はふさがれている。

 さらに背後から帆船が押し寄せる。

 旗印は――ニャール水軍。


 悟った。やられたのだ。

 ニャールは逃げたのではない。わざと動かず、我らを港に閉じ込めるために待っていた。

 沈没船はただの残骸ではない。海を塞ぐ障害物となる。

 脱出など不可能だ。


 たとえ運よく突破できても、外には鉄の船とニャール水軍が待っている。

 完全に詰みだ。


「この状況を総司令官に伝えよ」

 わたしは部下に命じた。


 もう、海では勝ち目はない。残された道は陸戦のみ。

 だが――あのニャールに軍師がいるとすれば、恐らく我らの裏を突く策をすでに用意しているだろう。

 フェルマンのようなただの技術屋には、それを見抜くことはできない。


 わたしは拳を握りしめた。

 そして静かに、この戦争の敗北を覚悟するのだった。

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