比留間明夫34
よし、そろそろニャール水軍が動き出す時間だな。
ニャール水軍って、要するに海賊みたいなもんだ。
操船技術はピカイチ、戦い方は機動力重視。
でも大艦隊での組織戦はちょっと苦手、ってのが俺の印象。
そこでこちらの作戦はシンプルに小回り重視。
エンジン付きの鉄の小船を十隻こさえた。
数で押されてるのは事実だけど、相手の主力は木造の大船、しかも大砲を積んでいるのは前のほうだけ。
大砲って分解して山越えさせるの無理だし、船で運ぶ以外に選択肢がないんだよね。
だから後方の"でかいやつら"をやっつければいい。
あいつらを沈めれば港から出られなくなる。
で、見えないところから効かせる兵器が欲しかったから、キャットGPTさんに頼んで「魚雷」っぽいものを作ってもらった。
いや、正確には魔導推進の小型潜航具ね。
小回りの利く船に積んで、舷側を狙ってこっそり破壊する作戦だ。
水中から来る攻撃は目に見えないし、迎撃は難しい。ミシディアはこの手に弱いはず。
ニャール水軍にはルールを与えてある。
後方の大船を沈めろ。船は沈むのに時間がかかる。
その間に沈んだ船が障害物として残るから、相手は身動きがとれなくなる。
小型船だけが動き回れる状況になれば、我々の取り回しが有利になる。
で、その隙にこちらは戦車や砲で港の船をやっつける。
戦車の利点は分かりやすい。
戦艦の主砲は射程はあるけど小回りが効かない。
動き回る戦車や騎馬隊を正確に狙うのは難しい。
逆に戦車は近距離で大穴を開ける。だから海上で相手を足止めして、陸上で決める。
古くて合理的な作戦だけど、なかなか良いバランスだと思うよ。
俺は戦車に乗り込む。とりあえず運転はぼくがやる。
まだ運転手不足の状態だからね。
マルス将軍の騎馬隊と歩兵が戦車を取り囲む。
今回は騎馬隊との共同作戦だ。
敵はもう上陸の準備にかかっている。兵を降ろして物資を広げて、拠点づくりをしている。
いちおう警戒はしているがニャール軍は襲ってこないと思っているみたいだ。
もし出てきても戦艦の大砲でふっとばすと思っているのか。
「出撃だ」って、俺は小声でコヨミに言う。
コヨミは膝の上でニャーと一鳴き。ぼくの合図に対する同意。そいつの一声で、妙に気が引き締まるんだから不思議なもんだ。
マルス将軍が手を上げる。合図だ。
ぼくは戦車のアクセルを踏む。
砲撃の準備も整っている。
今回も速攻で決める。そうしないとお互いに犠牲が大きくなる。
さあ、行こうか。戦車のエンジンが低く唸る。
俺はハンドルを握って、少しだけ深呼吸する。
海軍に連絡をする。向こうも準備OKってことだ。
ぼくの戦車が先頭を切って進んでいくのだった。




