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王様とおっさん~異世界はキャットGPTとともに~  作者: PYON
第三章 ビリジアンテ連邦国

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比留間明夫27

 ぼくはアバドン議長と握手をした。

 ……うん、なんとか交渉はうまくいったらしい。

 やっぱりキャットGPTさまさまだ。

 正直ぼくは横でうんうん頷いてただけだし、貢献度で言えば観客と同じレベル。


 議長も大変だよなあ。

 これから国に帰って「すみません、戦争に負けました」って説明するんだから。

 国会答弁でどうやって言い訳するんだろう。でもたぶん大丈夫じゃないかな。

 今のアバドン議長は国民のことを第一に考えているみたいだし。

 まあでも、そんなに無茶な条件は出してないし、ビリジアンテ連邦に戦争を続ける余力は残ってない。

 キャットGPTも「勝率100%にゃ」ってドヤ顔で言ってたし、大丈夫だろう。


 とりあえず、ひと息つけるかな。こっちに来てから働きっぱなしだったからね。

 腕の中のコヨミが「ニャー」と鳴く。はいはい、君も休みたいよね。ぼくもだよ。


 ……ただ、のんびりしてるわけにもいかない。

 他の二国が「戦後処理ビジネス」に首を突っ込んでくるのは目に見えてる

 。そこでマルス将軍とギランジル宰相を召集して、今後の方針をざっくり指示することにした。


 まず軍の再整備。ギオルグ族も加えて、ダオウルフさんを副将軍に据える。これで戦力アップは確定。

 次に経済。ギランジル宰相にはとにかく「食料をなんとかせよ」とお願いした。

 腹が減っては戦はできないし、腹が減っては猫でもゆっくりできないだろう。

 キャットGPTが品種改良したスーパートマト(やたら甘いけど皮が固い)とか、ギオルグ族の放牧を軌道に乗せる。

 仕事が一段落して、ぼくは宮殿へ。ニャルロッテ王が暮らしていたところだ。

 表の豪華絢爛さと違って、奥へ行くほど質素になるのは面白い。

 要するに「お客様用の舞台セット」だったんだろう。

 裏側は意外と普通。いやまあ、部屋数とか広さは「普通の家」基準からするとぜんぜん普通じゃないけど。


 王妃はひとり。びっくりするくらい綺麗な人で、しかも上品。

 子どもは三人。男の子二人に女の子がひとり。みんな揃って玄関まで迎えに来てくれた。


「父上、この度はお疲れさまでした!」

「ビリジアンテを退けるなんて、やっぱり父上はすごいです!」


 ――え、なにこれ。めっちゃ尊敬されてる。

 キラキラした目で見られてる。

 向こうの世界じゃ、家族にすら「空気以下の存在」扱いされてたのに。

 ぼく、感動で泣いていい?


「みんなを断頭台に送らなくて本当によかった……」

 思わず口から出てしまった。

 本来なら妻も子どももまとめて処刑コースだったんだ。


「父上!」

 三人同時に飛びついてきた。王妃も微笑んでいる。


 ぼくは大きく両腕を広げて、家族全員をぎゅっと抱きしめた。

 ……あれ? なんか今、人生でいちばん「父親してる」気がする。

 こんなの向こうの世界でなかったよな。

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