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王様とおっさん~異世界はキャットGPTとともに~  作者: PYON
第三章 ビリジアンテ連邦国

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比留間明夫23

 さて、ビリジアンテのアバドン議長はどう動くだろうか。

 こちらから攻め込む気はない。

 だが、落とし前はつけてもらわなければならない。

 勝手に我が領土へ侵攻してきた以上、その責任は取らせる。ギオルグ族の件も含めて、無視はできない。


 キャットGPTの分析によれば、すぐに再侵攻の動きはないようだ。あの国は思った以上に足並みが揃っていない。

 実際、アバドンは側近を数人更迭したらしい。

 権力基盤を固めるのに苦労しているのだろう。

 それに、キャットGPTさんによると、情報が漏れていると思うだろうってことだ。

 鉄の壁対策とか農奴軍対策とかされていたわけだから、だれかスパイがいると勘ぐるだろうってこと。

 そうなれば、疑心暗鬼に捕らわれたアバドンが犯人探しをするだろう。

 それでいろいろ内部が混乱する。

 時間が稼げるならそれでいい。こちらには準備がある。


 ニャール王国はその猶予を徹底的に利用する。

 戦場に置き去りにされた鉄の盾は資源として回収し、溶かして再利用する。

 敵の騎馬から人だけを撃ち落としたので、残った馬は丸ごと手に入った。

 ダオウルフさんの指揮でギオルグ族を中心とした騎馬隊が編成され、数は千を超えた。

 彼らの馬術と相まって、精鋭部隊が自然と出来上がる。

 食料や武器も取りこぼさず確保した。

 通常なら撤退時に焼き払うところだが、ビリジアンテ軍はその余裕さえなかったのだ。


 とはいえ、まだ二十万の兵力が残っている。

 正面からの衝突では分が悪い。だからこそ、キャットGPTさんの作戦を実行する。


 今、ビリジアンテ国内には戦争による不満が渦巻いている。

 次の侵攻にはさらなる戦費が必要となり、国民の怒りは必ず爆発する。

 さらに、少数民族はいまだ奴隷のまま。ギオルグ族の解放を耳にすれば、各地で反乱が起きても不思議ではない。

 そうした動きを水面下で繋ぎ、支援するのだ。


 先代ニャール王は情報を操り、大国を翻弄したという。

 その諜報網は今も生きている。

 ぼくはキャットGPTと相談しながら、諜報部を各地へ散らした。目的はひとつ、ビリジアンテを内部から揺さぶること。


 同時に、アバドン議長へ書簡を送る。

 表向きは戦争終結の交渉を持ちかけるためだ。だが、彼の反応を探る意味もある。


 空いた時間には王としての事務も片づける。

 正直、身体がいくつあっても足りない。

 だが、かつてブラック企業で働かされていた頃を思えば、これくらいはどうということはない。

 あの時と同じように、黙々と片づけていけばいい。向こうの世界で培った忍耐力が十倍に増幅されている感覚さえある。


 書類を捌きながら、ふと懐かしくなる。

 あの頃、家事を終えればあとは自由な時間だった。

 テレビを見て、本を読んで、それで満足していた。平穏な暮らし――今思えば、あれこそがぼくに一番合っていたのかもしれない。


 だが今は違う。ぼくは王だ。背負うものも責任もある。

 だからこそ、冷静に。確実に。

 今日も机に向かい、戦争を終わらせるための仕事を一つずつ片づけていくのだった。

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