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王様とおっさん~異世界はキャットGPTとともに~  作者: PYON
第三章 ビリジアンテ連邦国

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ビリジアンテ連邦国 アバドン議長06

 なんだこれは――。

 開戦してまだ一日ほどだというのに、三師団全滅の報だ。

 次々と悪いニュースが飛び込んでくる。

 書簡を読み返しても数字は消えない。現実が目の前で崩れていくようだ。


 あの銃──いや、銃だけならともかく、自走する「鉄の馬車」とやらまで出現した。

 キャルロッテという男のやっていることが常軌を逸している。

 あの貧相な小太りの男にどんな力があるというのか。

 つい先ごろまで瀕死同然だった「オワコン王国」が、いったいどうやってここまで甦ったというのだ。

 あり得ない。だが目の前の死体と瓦礫が、それを否定していない。


 冷静に考えれば、問題は単純だ。勝てると踏んで、国家的賭けにすべてを注ぎ込んだ。

 鉄の盾、補給、弾薬、物資──その総額は国家予算の一年分にも匹敵する。

 もし撤退すれば、その投資はすべて紙切れ同然になるどころか、敗北の烙印で賠償も請求される。

 議長としての責任は問われる。前任者たちの末路が脳裏をよぎると、血の気が引く。

 この国では英雄でも失脚した途端に罪人とされてしまうのだ。


 だがおかしいのは、こちらの動きが丸裸のように見透かされていたことだ。

 鉄の壁作戦が先んじて対処され、農奴軍が瞬く間に裏切り、武具を手にして戦列をなす。収容所の人質が煙のように消え去った??

 その手口と速度は、普通説明がつかない。我が国の動きが全部わかっていたとしか思えない。

 誰が我々の内情を引き回しているのか。帝国か共和国か、それとも国内の裏切り者か。


 思考は一気に悪夢めいた仮説へ滑る。

 ベルゼン副議長の慎重姿勢、外務大臣エメルの妙な外遊。

 あいつらの行動を切り離して考えられるか?

 いや、可能性は潰さねばならない。ここで負ければ、私の首が飛ぶ。

 過去を思えば、前任者の処刑や粛清の映像が脳裏をよぎる──あれを自分が受け入れるわけにはいかない。


 落ち着け、アバドン。感情で動いてはならない。

 だが行動は即必要だ。戦線に四師団を動員し、挟み打ちで農奴群を潰す。

 続いて七師団でニャール本国を叩く。数で押し潰す。それが計算上の最短解だ。

 しかし、計算が合わないのは「情報」が漏れているからだ。情報権の掌握なくして勝利はあり得ない。


 これ以上の手遅れを防ぐには、裏切り者を炙り出すしかない。

 内部からの崩壊が今回の敗因を生んでいるのなら、内部の矯正は急務だ。

 議会、軍部、外務、経済部門──疑わしき者を洗い出せ。容赦はしない。必要なら粛清も辞さぬ。


 手が震えながらも書類を並べ、名前を書き出す。

 ベルゼン、エメル、その周囲の顔ぶれ。

 次々とリストは増えていく。政治は血の上に成り立つことを、私は嫌というほど知っている。

 だが今はそれを恐れていられない。勝つためには、まず疑いを断ち切るしかないのだ。


 わたしは大粛清を開始するのだった。

 全面の信頼を与えていた秘書官でさえ例外ではない。

 疑わしいうやつらは全部拷問にでもかけて、疑いをはらす。

 そうしないと、この戦争は負けだ。

 我が国は終わってしまうのだ。

 情けを欠けている場合ではないのだ。

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