ギオルグ族長 ダオウルフ三世03
王の言葉はあまりにも軽やかに聞こえたが、その内容は重かった。
馬五百頭、槍や剣や盾を五千挺──耳を疑う数だ。
ビリジアンテが渋っていた分配を、彼は突然まるごと差し出すようなことを言っている。
しかし、王の言に乗ることは大きな博打となる。
いや、大きな覚悟が必要となるのだ。
ビリジアンテは、絶対に俺たちが裏切らないような仕組みを作っているのだ。
そこでもう一つ、わたしは問いを重ねたのだ。家族のことを。
王はそこまでは考えていないだろう。
それにその問題を解決することはできない。
「我らの家族がビリジアンテ連邦で人質にされている」
彼らは俺たちを恐れるあまりに、幹部の家族を別のところでかくまっているのだ。
ビリジアンテの征服した民族と同様に。
ギオルグ族以外にも、サタール族やウラール族も同様に。
だが、その瞬間、彼は不意に笑ったのだ。
そして驚くべき答えを告げる。
「ダオウルフさん、安心してください。特殊部隊が動いています。
収容施設はグリゴー北部です。たぶん大丈夫ですよ」
キャルロッテ王が言うには、もう秘密裡に救出劇は始まっているとのことだ。
「場所がはっきりしているとしても、ビリジアンテの首都の近くだ。
どうやって攻めるのだ」
一軍を派遣するにしても、相手にすぐにばれてしまうだろう。
そうなれば、ここまで逃げてくることは不可能。
そういった場所だ。
「では、なぜ、わたしはこんなところにいるのでしょう?
かなりビリジアンテの中に入り込んだこの場所にね」
そういえば、こんな恰好をした奴がビリジアンテに入り込んだら、国境さえ超えられないだろう。
「どうやって、ここまで来たんだ」
俺は王に問う。
「今は秘密です。でも、ビリジアンテ軍にわからないように、収容所を空にすることくらい簡単です」
「わかった。王を信じよう」
「作戦の実行までに家族は必ず助け出します」
キャルロッテは静かに頷き、言葉をつないだ。
もう、俺はこのキャルロッテ王にすべてを預けようと決めている。
ただ、ギオルグ族は言葉だけで、相手を信用することはできないのだ。
「最後にもうひとつ条件があるんだ」
俺はキャルロッテ王に、最後の条件を突きつけるのだった。




