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王様とおっさん~異世界はキャットGPTとともに~  作者: PYON
第三章 ビリジアンテ連邦国

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比留間明夫16

 自室からギオルグ族の陣まで、ワープ。

 護衛は二人だけ。シンプル・イズ・ベストってやつだ。

 この転移、例のアカシックレコードの力らしい。

 空間を座標化してピン刺し→瞬間移動、という仕組みだとキャットGPTさんは説明してくれた。

「計算さえできれば簡単にゃん」

 いや、計算できないから普通の人間は歩いて行くんだよ……と思いつつ、ぼくたちは街道の木陰にあるワープポイントへ。


 次の瞬間、ふっと重力が軽くなり、足元が入れ替わる。

 ワープって言っても『ドラえもん』のどこでもドア的な便利さじゃない。胃がちょっとひっくり返る感じがある。

 ――ただ、もう慣れたけど。


 街道に現れたぼくたちは、そのままギオルグ族のテントへと向かった。

 もちろん門前払いにあう。


「おまえたち、今は戦争中だ。これ以上通すわけにはいかない」

 槍を持った門番が腕を広げる。


「でも、こっちには用事があるんです」

 そう言って、ぼくはニッコリ笑った。

 交渉スキルが上がったおかげか、こういうときも不思議とビビらない。門前払いどころか、一応話は聞いてくれるようになった。まるで営業トークの神髄。


「ここはギオルグのテントだぞ」


「ええ、ダオウルフ族長にお話があるのです」


「族長に?おまえは何者だ」


「申し遅れました。ニャール国国王、キャルロッテと申します」


「ニャール国……今回の戦争の相手じゃないか? 本物の国王なのか」


「はい。これをご覧ください」

 王家の印が入った薬入れを取り出す。

 ――って、これ完全に印籠じゃん。思わず心の中で『この紋所が目に入らぬか!』って言いたくなる。

 こっちの世界でも使えるんだな、印籠パワー。


「わからん。しかし、宝石は本物のようだな。いちおう取り次いでみる」


「よろしくお願いします」

 ぼくは深々と礼をした。こういうとき礼儀は大事だ。


 待っている間、意外にもぼくは落ち着いていた。

 やっぱり"ビジネスモード"に入ると肝が据わる。普段は気の弱いただのおっさんなのに、仕事だとどんな偉い相手でもちゃんと交渉できるのだ。なんか不思議。

 それに、キャットGPTさん(という名のコヨミ)がいる。この猫、実は頼れる上司ポジションかもしれない。


「キャルロッテ王、大丈夫ですか?」

 護衛のひとりが耳打ちしてくる。

 彼もマルス将軍が選んだ一騎当千の強者で、剣技大会のチャンピオンだとか。

 ぼくにとっては完全に"助さん格さん"枠だ。


「大丈夫ですよ。やばくなったら、さっきの技で逃げますから」

 ぼくは笑って答えた。

 その言葉に合わせるように、腕の中のコヨミが「ニャー」と鳴く。

 ――なんだろう。緊張しているのに、ちょっとした漫才コンビみたいな安心感がある。

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