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王様とおっさん~異世界はキャットGPTとともに~  作者: PYON
第三章 ビリジアンテ連邦国

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ビリジアンテ連邦国 アバドン議長04

 あの講和会議以降、わたしの座っている椅子はいつもより冷たく感じる。

 理由は単純だ。ニャール王国の三分割案を、あの――年寄りにひっくり返されてしまったからだ。

 南の肥沃な平野。そこには我が国が手に入れようとしていた広大な農地と人手、さらにはニャールの農業技術があった

 すべて目前で消えたようなものだ。国境付近の州からの文句が日に日に大きくなっているのも当然だ。


 もちろん、責任はわたし一人のものではない。ガルバンもミシディアも似たような状況にある。

 だが、政治というのは結果がすべてで、結果を出せない者は批判の対象になる。

 あの会議での失態は、わたしの求心力をはっきりと削いだ。


 会議直後には「即時派兵」の案が浮上した。

 兵を動かして圧倒する――戦力の差は明白で、理論上は勝てる。

 だが現実はいつも思い通りにはいかない。各連邦国はいずれも「もっと多くを取る」ことだけは口にするが、兵を出すことには尻込みする。

 無駄な会議を開き取らぬ狸の皮算用をしているうちに時間だけが流れ、私の立場だけが悪くなっていった。

 主戦派が人気を集め、弾劾の噂まで立つ始末だ。政治家としての面目が潰れかけている。


 それでも、わたしは戦を否定しているわけではない。腹の虫が治まらないのは事実だ。

 あの会議で自分たちを踏みにじった相手を、権力で叩き潰したいという欲求は消えない。

 ただ――問題は「銃」と呼ばれる未知の兵器だ。引き金一つで致命傷を与えるその小型武器が存在する限り、無闇に攻め込むわけにはいかない。

 対策を講じる時間が必要だ。研究・解析・対抗兵器の開発。すべてを急がせている。目標は一年以内に目途を立てることだ。


 わが国は人口は多く、兵力も豊富で、補給能力や農地もある。数で押せるという強みはある。

 しかし、過去の戦いで得た教訓も忘れてはならない。

 大量動員で勝てても、相手よりこっちのほうが戦死者が多いということがあった。

 代償が大きければ国民の支持は失われる。私は独裁者ではない。議長は選ばれた存在だ。民の支持を失うわけにはいかない。


 戦術の選択肢は狭くない。三か月後、我が国は先手を取る。まだガルバンもミシディアも動いていない。

 向こうは様子を見ている可能性が高い。ならば、我が国が動いて初戦でアドバンテージを確保すれば、他国の介入を遅らせられる。

 初戦で決着がつけば、それで戦争は終わる。もちろん計画は綿密に。銃が百丁程度ならば我が国の作戦で封じることは可能だ――と、読んでいるのだ。

 とにかく、初戦で勝利し、一気に叩き潰す。これが今回の作戦だ。

 

 私は事務官を呼び、将軍たちの緊急招集を命じた。

 補給線の再確認、偵察網の強化、兵站の確保、そして「銃」に対する対策班の設置。

 短期決戦に耐えうる作戦を詰める必要がある。国民の生活を守るためだ。これがわたしの誇りであり、責務である。


 歩を進めるごとに、いろいろなところから横やりが入る。初戦にそれだけ投じて、もし負けたらどうするのかという論調が多い。

 やつらにはわからないなのだ、あのキャルロッテ王とかいうやつがどれほど不気味な存在なのか。

 確かに見た目は貧相なハゲ男だ。

 だが、交渉に猫を抱いてくるとか、やっていることが無茶苦茶だ。

 攻め込んだら、いろいろと作戦を練ってくるだろう。

 それに対抗するのは、圧倒的な力だ。

 情報に惑わされずに一気に数でたたく。

 これしかないのだ。

 そして我が国にはこれができる。


 この国のため、農夫のため、働く者たちのために、わたしは拳を固める。

 怒りは冷静に、行動は正確に。

 三か月後、我が歩兵が旗を掲げるとき、ビリジアンテの名誉は取り戻されているはずだ――そのために準備を急ぐのだ、とわたしは自分に言い聞かせた。

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