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王様とおっさん~異世界はキャットGPTとともに~  作者: PYON
第二章 世界平和会議

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ガルバン帝国 ベリアード大帝04

 シオンが、私の前に進み出た。

 こいつは元・冒険者。驚異的な剣技で頭角を現し、戦場では百を相手にしても一人で退けてきた猛者だ。

 私がもっとも信頼を寄せる男――シオン親衛隊長。彼がいれば、どんな乱戦でも安心できる。


 彼は冷静に、キャルロッテの動きを観察した。

 素人めいたぎこちなさが見えたという。

 確かに、速度と力は尋常ではない。だが、それらは技術によって制御されるものだ。

 剣の達人であるシオンの前では、ただの筋力と短い反応速度など、いかようにも捌けるはずだ。


 シオンは一歩出て、ゆっくりと剣を構える。

 その構えだけで、室内の空気が変わる。

 達人の「」とでも言うべき威圧だ。見ている者の身体が無意識に固まっていく。

 ――キャルロッテの表情が一瞬、揺らいだ。

 先ほどの不敵な顔が消え、強敵を前にした獣のような不安が覗く。

 身体能力が高いといっても、戦ったことがないのか。

 圧倒的な経験不足が感じられる。

 王や指導者は自ら戦ったことはないのだ。それも生きるか死ぬかの戦は。


 だが、彼は懐から何かを取り出した。

 掌に収まる黒い塊。鋼のような冷たい艶を帯びた、それは小型の器具――拳大の黒金属だ。

 得体の知れないそれを前に、思わず私は眉をひそめる。

 そんなものが、達人の剣を打ち負かせるわけがない。

 投擲武器か、魔術の媒介か。だが見た目はただの鉄塊だ。こんなもので戦おうというのか?


「なんだ、それは?」と、思わず声が出る。


「銃、っていいます。わたしの国の武器ですよ」


 ――銃。聞いたことのない名だ。

 王国と交戦した覚えはあるが、そんな兵器は見たことがない。王専用の珍奇な兵器か。それにしても――


「そんなもので、わたしの剣技に勝てるわけがないだろう」

 シオンは不遜に笑い、前へ出る。

 その瞬間、キャルロッテは半身になり、腕をまっすぐ伸ばした。

 耳に残るのは、間の抜けたような小さな音──プシュ。

 たかが空気の抜けるような音。

 だが次の瞬間、シオンの右足に――赤い、意味のある穴が穿たれていた。血がにじみ、彼の足が崩れる。


 ありえぬ光景だ。遠距離の射撃? この器具は、魔導力で弾を放つ装置なのか。

 弓矢や魔法とはまるで異なる"瞬間殺傷"の原理。物語の中の奇策か、我々の常識を超えた工夫か。


「つぎは心臓を撃ち抜きますよ。おとなしくしてください」

 キャルロッテは平然と微笑っている。

 シオンが膝をつき、護衛が慌てて彼を庇う。その動揺が、ここにいる全員の嗅覚を鈍らせる。


 私は咄嗟に、計り知れない不安を覚えた。

 直感が告げる。これはもう、単なる力量差の話ではない。

 未知の武器と、キャルロッテ王の不気味さ。

 この王は甘ちゃんだと見くびっていたが、違うのだ。

 たぶん、全面降伏からして作戦の一部。

 我々を集める餌にすぎなかったのだ。

 このままでは、我らは殺される。または人質にするつもりなのか。

 こいつは先代以上の悪党だ。

 わたしは、キャルロッテを牽制しながら、ここから逃げる方法を考えるのだった。

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