比留間明夫50
「だめにゃん。もう準備を始めているにゃん」
空を見上げると敵の軍の上に巨大な魔法陣が現れている。
その魔法陣はさっきのものより段違いに大きい。
まるで一つの街を包み込めるような規模だ。
あんな規模で爆裂魔法を撃たれたら、ここら辺一帯草木も生えなくなる。
「やめてくれ。コヨミ。
それはダメなんだ」
たぶん計算的には正しいのかもしれない。
最小限の犠牲で戦争を終わらせる。
それがAIの出す答えなのかもしれない。
しかし、違うんだ。
うまく言えないけど、それはやっちゃダメなんだ。
ぼくはコヨミを掴み振る。
魔法は集中できなくなったら消える。
ごめん、コヨミ。
ぼくのために考えてくれたのに、こんなことをして。
コヨミはぼくの腕から抜け出す。
そして、ぼくの前で二本足で立ち上がる。
「コヨミだめだ」
魔法陣はより輝きを増す。
「にゃん」
何を言ってるのかわからない。
コヨミに触れないと会話できないんだからね。
でも、そのコヨミの前足の動きでわかる。
まるで指揮者のように魔法陣に合図を送っているのだ。
ぼくはコヨミを掴もうとする。
でも、素早く避けて別のところにいく。
魔法陣はだんだん降りてくる。
ゆっくりとゆっくりと。
ダオウルフさんからの連絡がある。
しかたない。
ダオウルフさんたちだけでも、なんとかしないと。
ぼくは引き上げる命令をする。
ダオウルフさんはそれを受けてこっちに向かってくる。
魔法陣はどんどん落ちてくる。
その魔法陣から光のシャワーが降り注ぐ。
まるで雨のように、敵の軍隊に。
光を受けた兵たちは輝き始める。
爆裂魔法ではない。
たぶん、もっとやばいやつだ。
即死魔法とか、人間だけを滅ぼすやつ。
これで、戦争は終わる。
けれど、ガルバン帝国国民はぼくたちを決して許さないだろう。
新たな長い長い戦争が今始まったのだった。




