ニャール国副将軍ダオウルフ三世02
通信が入ると胸の内が熱くなった。
キャルロッテ王からの出撃命令だ。
待っていたぞ、という気持ちが湧く。
砦の中の連中は既に片付けた。
味気ない相手だったが、これから出てくるのはそうじゃない──魔王軍だ。
魔族は噂どおり強い。オーガは人間離れした怪力を持ち、獣人は獣の鋭さで戦う。
そんな相手と互角にやりあえるのは、王が与えてくれたこの武器があるからだ。
偃月刀という槍の先に刃の着いた武器。
馬上での戦いに適した武器だ。
鉄や岩さえも断ち割ると言われるその刃はオリハルコン製だ。
キャルロッテ王がわたしのためにあつらえてくれた武器。
これはもはや「刀」以上のもの――王の信頼の象徴でもある。
狙いは明確だ。
魔法陣を展開して術を詠唱する術者を潰すこと。
あれが発動すれば、砦も王も一発で吹き飛ぶかもしれない。
王の命は我が命。あの魔法が完成する前に術者を斬り倒す、それだけだ。
門が開き、馬の鞍が馴染む。
いい馬を与えられている。
風を切って駆けると、視界に魔王軍の姿が広がる。
狼の獣人、巨躯のオーガ、術者を守る壁のような配置――だが怖気づく理由にはならない。
わたしはギオルグ族だ。
仲間を率い、王に仕え、かつての屈辱を晴らすために剣を取った。
そして、誇りを取り戻した。
放牧の地を与えられ、ギオルグ族はすべてをとりもどした。
その恩を返す時だ。
魔族の首を王に捧げよう。
そうすれば、この戦は終わる。
草原の狼と呼ばれたギオルグの本当の力を見せてやる。
「五分で片をつける」――心の中で誓う。
詠唱の秒針はすでに刻まれている。
騎馬の足音が大地をたたき、偃月刀の刃先が太陽を反射する。
わたしたちが出る限り、あの魔法は実現させない。
構築が終わるまでに術者を叩き切ってやる。
王を救い、かつての農奴たちに誇りを取り戻させるために、わたしは真っ直ぐに魔族軍へ突っ込んでいった。




