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王様とおっさん~異世界はキャットGPTとともに~  作者: PYON
第五章 ガルバン帝国

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ガルバン帝国 ベリアード大帝14

 ゴーレムは倒された。

 だが、あの鉄の巨人を残しては意味がない。

 戦車だけでなく、あれも潰さねばならん。

 問題はどうやって、だ。正面からやり合えば潰される。

 だが、速度があっても巨体だ。

 人海戦術で取り囲めば、すり抜けることはできまい。

 多少の犠牲は覚悟のうえで、押し潰すまでだ。


 そこへ、例のローブの魔術師──メフィアスが前に出た。

 杖を掲げ、再び詠唱を始める。

 空に赤黒い魔法陣が現れ、うねるように広がっていく。

 なるほど、それがあったな。極大魔法。

 戦車を消し飛ばしたあの一撃なら、鉄の巨人とて耐えられまい。


 ゴーレムの頭上に、まず小さな魔法陣が浮かぶ。

 それが時間とともに大きくなり、層を重ねていく。

 まるで空を食い破るように、幾重にも重なる紅の円環。

 あれは見たこともない規模だ──メフィアス、全力を出している。


 だが、一つ懸念がある。

 極大魔法は「避けられる」。

 発動まで時間がかかるうえ、あのゴーレムは止まっていない。

 ただ戦車はなぜか動こうとしなかったが、逃げることができるだろう。

 そうなれば魔法は空を切るだけだ。


「奴隷兵を前へ出せ。囲め」

 わたしは副官に命じる。

 踏みつぶされようが構わん。捨て石だ。

 奴らの命で巨人の足を止めろ。

 そうすれば、魔法は確実に命中する。


 それにしても妙だ。

 あの鉄のゴーレム、こちらのゴーレムを倒してから攻撃してこない。

 まるで、不要な殺戮を避けているようだ。

 向こうの将は、犠牲を減らして戦争を終わらせたいのか?

 笑わせる。そんな理想で戦が終わるなら、誰も苦しまない。

 戦争は「殺すか殺されるか」しかないのだ。


 あの鉄のゴーレムは、おそらく兵を踏み潰すこともしない。

 ならば好都合だ。動きを止めてくれる。

 奴隷兵ごと、極大魔法を浴びてもらおう。


 そのとき、遠くの砦から騎馬の群れが飛び出した。

 あの旗印──ギオルグ族。

 副将軍ダオウルフか。

 狙いは明白、詠唱中のメフィアスだ。

 術者を斬れば魔法は潰える。単純な戦略だ。


 だが、メフィアスの前にはオニキスとオーガの巨躯が立ちはだかる。

 容易に突破できる相手ではない。

 詠唱完了まで、あと五分ほどか。

 それまで耐えられれば勝利は確実。


 問題は、鉄の巨人が逃げるかどうか──。

 だが、それも杞憂だった。

 ゴーレムが後退すると同時に、魔法陣もゆっくりと動く。

 まるで追尾しているかのように、狙いを外さない。


「ロックオン……か」

 わたしは息を呑み、笑みを浮かべた。

 あれなら逃げられん。勝負はついた。


 空に積み重なる魔法陣の輪。

 赤く輝き、まるで天を焦がす太陽のよう。

 勝利の瞬間が近づく。

 わたしは軍配を握り、ゆっくりと呟いた。


「見せてもらおうか、古の力の真価を──」

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