比留間明夫46
魔族の一団が戦車の前で立ち止まった。
お、なんか出てきたぞ。ローブ姿の魔術師っぽいのと、ちっちゃい女の子。
さっきから目立ってた連中の中の2人だ。
位置関係的に、真ん中の狼の獣人がリーダーっぽい。
で、その横にいるやたらデカいオーガが護衛だな。
あの4人が中心って感じ。わかりやすい構図だ。
……と思った瞬間、戦車の真上に魔法陣が出現した。
アニメで「究極魔法!」とか叫んでるときに出るやつだ。
赤い円が回転して、見たこともない文字がぐるぐる回ってる。
はい、完全にやばい予兆です。
もちろん、戦車の中の兵士は避難済み。
最初からキャットGPTさんの指示で、あらかじめ脱出させてある。
だから今、戦車は空っぽ。誰も乗ってない。
でも、もったいない気もするんだよな。
「攻撃されるとわかってて、放置ってどうなの?」
「壊されたら無駄じゃん」
そんな声が脳内で何回もリピートされる。
確かに、戦車は貴重だ。
この5台を失ったら、残り5台。つまり戦力半減。
けど、魔族の魔法って未知数なんだよ。
キャットGPTさんも、魔法データは未学習。
だから、まずは「見て」「学ぶ」必要がある。
AIにはラーニングが必要なのだ。
犠牲は……まあ、授業料みたいなもんだ。
そして、赤い魔法陣が輝きを増す。
うわ、来た。
ドッカーン!
炎の柱が戦車を包み込む。
次の瞬間、爆発。
……うん、盛大に吹き飛んだね。
中に火薬積んでるし、そりゃあ燃える。
残されたのは、黒焦げの鉄くず。
けど兵士たちは無事だ。
すぐにダオウルフさんの騎馬隊が保護してくれた。
操縦できる人材はほんと貴重だから。
戦車は作れても、人間は量産できない。
「……なんとかなりそう?」
ぼくはキャットGPTさんに声をかける。
「だいじょうぶにゃん。
解析完了にゃん。次は負けないにゃん」
キャットGPTさんの声が、いつもより少し頼もしく聞こえた。
どうやら、ラーニング完了らしい。
よし、ここから反撃だ。




