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王様とおっさん~異世界はキャットGPTとともに~  作者: PYON
第五章 ガルバン帝国

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比留間明夫45

 帝国軍が戦車を壊そうとしてきた。

 まあ、そりゃそうだ。

 あれがある限り、砦の中に入れないんだから。


 投石機が動き出し、ドーンと石が飛んでくる。

 続いて大砲がズドン。

 ……だけど、なんというか、全部"雑"。

 狙って撃ってるっていうより、目をつぶって石を投げてる感じだ。


 この時代の兵器、威力はあるけど正確さがない。

 同じ方向に撃っても、毎回ちがうところに飛んでいく。

 それに発射まで時間がかかる。

 投石機で3分に一発、大砲でも5分はかかる。

 連射なんて夢のまた夢。


 だから、石が飛んでくるのを見てからでも動ける。

 弩級の岩だって、避けちゃえば問題なし。

 それに戦車の装甲は鉄板より分厚い。

 表面に傷一つつかない。

 みんな操縦にも慣れてきたし、今じゃぼくより上手いくらいだ。


 ただ――まぐれってのはある。

 目をつぶって石投げてても、たまには当たることもある。

 そうなる前に、こっちから手を打つ。


 ぼくはトランシーバーを取り出して、命令を出す。

 目標は敵の投石機と大砲だ。

 戦車の砲撃は、毎回同じ威力と角度で撃てる。

 つまり"当たる"。

 それも1分に1発。

 しかも2門ついてるから、30秒に一発のペース。

 あとは動きながら距離を微調整するだけ。


 戦車が火を吹くたびに、帝国の櫓や砲台が吹き飛ぶ。

 煙と土ぼこりの向こうで、兵士たちが逃げまどうのが見えた。

 ……これ、戦争っていうより、もはや"射的大会"だな。


 砦の中の敵も片づいたらしい。

 ダオウルフさんが「出るぞ」と言ってきたけど、ぼくは止めた。

 白兵戦は犠牲が出る。

 勝てるときほど、慎重に行かないと。

 今は"威圧"で十分だ。


 帝国の動きが止まった。

 戦車から少し離れたところで整列している。

 ベリアード大帝が櫓の上で軍配を振ってるのが見える。

 あれで命令してるんだな。

 でも、あんな振り方だけで細かい指示なんて出せるわけない。

 軍団がでかすぎると、統率って意外と難しいんだよな。


 櫓の上では、大帝が側近たちと話している。

 次の手を相談してるんだろう。

 帝国にとって、こんな戦いは初めてのはずだ。

 ずっと力押しで勝ってきた軍隊だから。


 「このまま退いてくれればいいんだけどな……」

 そうつぶやいたとき、動きがあった。


 帝国の中央から、異様な一団が前に出てくる。

 ざっと百人ほど。

 オーガ、獣人、ローブの連中――まちがいない。

 魔族だ。


 その小隊は、戦車を恐れる様子もなく、まっすぐこちらに向かって進んでくるのだった。

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