比留間明夫43
国境の向こうに、黒い人の波みたいに帝国軍が集まっている。
まるでスペクタクル映画のワンシーンを丸ごと呼び出したみたいだ。
まるで〇ングダムみたいな。
王〇将軍がいてもおかしくないような。
いや、数、多すぎない? 本当に大丈夫なの、キャットGPTさん?
頭の中であれこれ考える僕に、キャットGPTさんはいつもの落ち着きでひと言。
「なにもしなくていいにゃん」──うん、説得力は猫ののんびり声である。
でも本当にそれでいいの?
街道で戦車をブチ抜けば時間稼げるんじゃない?
「意味ないニャン」
僕のケチなプランは次々却下される。
説明を聞くと、今回は「一気に叩き潰す」作戦らしい。
局地戦で小手先の勝ちを積むより、ここで決めないと泥沼化するってやつだ。
なるほど、泥沼は面倒くさい。
長期戦は弱いほうに不利だ。
だから任せるよ、キャットGPTさん。
とはいえ、正直ビビってる。
向こうも「帝王の戦だ!」って鼻息荒いらしい。
こっちは兵力で圧倒的に劣る。だが、ここまで来て僕の素人判断でチョコチョコ動くわけにもいかない。
人の命がかかってるし、僕は決定権を預かる人間として「任せる」と決めたら責任を取るタイプだ。つまり、信じる。
参謀たちが提案する。
「櫓立てられる前に戦車で破壊を!」とか「奇襲を!」とか。どれも筋の通った案だけど、全部キャットGPTさんの全体設計の範囲内だってさ。
うーん、猫ちゃんはたぶんプロ棋士のように「詰み」までの道筋を見てるのだろう。
実際、我が軍は戦車も大砲も近代兵器部隊も、ほとんどここに集中してる。
王都には最低限だけ残した。
賭けに出る覚悟だ。
僕は昔から「任せるのが得意」だって自分で言ってるし、今回はそれを実践する時。
大事なのは仲間を信じること。そして、信じたら最後まで責任を取ることだ。
そういう男なのだ、僕は。そしてそれしかできない。
自分の無能さはよくわかっている。
だから、部下にすべてを任せることができるのだ。
兵士たちの顔を見回すと、皆ピリッとしてる。
怖いはずなのに、どこか楽しげでもある。
多分、彼らも「やるべきことがはっきりしている」からだろう。
準備の音、鎧の軋み、馬のいななき。戦場の朝は不思議と清々しい。
「キャルロッテ王、配置につきます」って声が飛ぶ。
コヨミは僕の膝で丸くなって、ニャーと一声。
「任せとけにゃん」って、ほんと頼りになる。僕はその小さな温度を抱いて、持ち場へ向かう。
さあ出陣だ。
「明夫いきま~す」
って感じだ。




