87話 騒がしくなった焚書
私は焚書の切れ端を焚書に戻している作業中、どこかから声が聞こえてきた。
「あっ、ステラの視界から見てたけど動物にやられてたね」
「ステラ……とは誰だ?」
「ほら、今あなたが持っていた焚書の切れ端を焚書に直してる人間だ」
(もしかしてこれを所持している人はこの中に封印されている英霊の声を聴くことが出来るのか……?だとしてもうるさすぎる)
するとゴルゴンの声が聞こえてきた。
「どうやらステラの耳にも私たちの声が聞こえてるらしい、少しだけ声のトーンを下げて」
(ありがとうゴルゴン……これで私の耳が守られるかも……)
ゴルゴンが焚書の中にいる英霊を仕切ってくれているおかげで私の不調が減るのだった。だが焚書を持っていて不便な事、それは……
「今日も来たよ~」
「セラフィス……どうして私の居場所が分かるの?」
「魔力が独特だからね、甲板からトイレまで探知できるのだ~」
セラフィスが私に付きまとってくるのだ。それも一時間に一度という頻度で。
(でも神が近くに居てくれれば変な奴が寄ってこないのかな)
「今日も焚書の切れ端取りに行くの?」
「今日も……?」
セラフィスの触手が私の腰を伝い、私はビクッとなった。
(何だこの気持ち……怖すぎる)
「行きましょう!!!」
「ならスイに言いに行こうか~」
そして私とセラフィスは一緒に焚書の切れ端を探しに行くことにしたのだった。
「スイ~焚書の切れ端探しに行っていい?」
「良いけどまだ残りの焚書の切れ端は見つかってないよ?」
「大丈夫、焚書の切れ端が発してる魔力は徐々にステラに近づいてる、つまりステラは焚書なんだよ!」
「何言ってるんだセラフィス」
そしてセラフィスが焚書の切れ端から出ている魔力を感じ取り、スイさんはその方向に舵を切った。
(しかし焚書の切れ端が発している魔力は私と似てきている?もしかしたら私を呼び寄せようとしてるのか?)
焚書の切れ端が発する魔力が変わることはそうそうない事だ、だが私の魔力に近づいて行ってるとなると何かに呼ばれているという事だ。
「ステラ~」
「セラフィスは本当に私が好きなのね」
「あそこに焚書の切れ端あるかも~」
セラフィスが指さした場所、それは海の中だった。
「海の中!?」
「海の中に英霊がいる、そいつが焚書の切れ端を持ってる。潜ろうか」
「でも海の中には空気が無いよ?」
「そう、普通は空気が無い。だけど魔法で空気は作り出せる」
そう言ってセラフィスは指先を天に向けた。
「出てるの?」
「ああ、出てるぞ」
私はこの見えない空気を頼りに海に潜らなければいけないのだった。そして私たちは水着に着替えて海に潜るのだった。
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