50話 平穏土砂崩れ
翌日、静かに授業を受けていると昨日と同じ窓に母親がへばりついていた。
「先生」
「わかってる」
先生は母親が窓に張り付いたまま授業を続けていった。
(魔王に見られながら授業をするなんてとんでもない強心臓だなぁ)
母親は先生の授業内容に不満なのか徐々にドアに向かっていっていた。
(なんだかこの教室に突撃してきそうだなぁ……先生は何をやってるんだ?)
先生はワンドを机の中から出すとドアに向けた。
「それでここの問題、ステラ解いてくれるか?」
「はーい」
(前で書き込むのはいいんだけど母親がいるとなぁ)
私は複雑な魔法式を書いて行った、ラゴニアとサバニャ以外のみんなは分かっているようでラゴニアは意味が分からないと言う顔をしていた。サバニャはもはや授業を受けていそうで寝ていた。
(サバニャは睡眠学習してるけどいいのかな)
「先生、書けました」
「合ってるね、これは上級魔法や神聖魔法、その他の特殊魔法に通ずる魔法式だ。サバニャ起きてるか~?」
「はっ、起きてるのだ!」
ドアを見るとなぜか吹き飛んでいて母親が壁に張り付いていた。
(先生は魔法でドアごと母親を吹き飛ばそうとしたのね、でも吹き飛んでないから無駄だったわけか)
そして母親が授業に入ってくるとみんなが疑問の声が上がった。
「誰だこのババア」
「誰がババアだおおん!?!?」
ラゴニアは母親の事をババアと呼び、一触即発の状況になった。
「あっ、こらラゴニア!謝りなさい!」
「龍人族の子よ、一旦立場を分からせないといけないのかな?」
「いいぞ、裏来い」
「あーどうなってもしらんぞー」
先生は諦めモードになり、私たちはラゴニアと母親の決闘を見ることにした。
「じゃ、私から行くぞ!」
ラゴニアはギガフレアという火柱を召喚する魔法を唱え、母親を包んだ。
「へぇ、ギガフレア……とても完成度は高いがまだまだだな」
そう言うと母親は火柱を消した。
「なっ……」
「風の魔法の中でも最弱魔法、ブローでもこの火柱を散らせる、次は私の番だ」
そう言うと母親は両手で何かをこねていた、すると周りの気温が高まっていった。
「なんだかとても暑くなってきたな」
「そうだ、ちょっと危険になるかもな……」
先生は私たちをアンチファイアシールドで包んでくれた、そしてラゴニアの周辺から火が出てきた。
「まさか……これは!?」
「そう、これが本物のギガフレアだよ」
地面から出てきた火が縦に伸びていき、大きな音を立ててラゴニアを包んだ。
「うおおお!?!?」
「これは凄い……これが魔王の力……」
私たちは大きい火柱を見て冷や汗をかいていた。
「これで大丈夫かな」
母親の合図で火柱が消えるとラゴニアが真っ黒になっていた。
「おっと、力強すぎたかしら」
「ラゴニアぁああ!?!?」
ラゴニアは真っ黒こげになっていて動かなかった。
「まぁ復活魔法をかけたら元に戻るんだけどね」
(そもそも真っ黒こげになるまでに出力を高めたらだめだよね……??)
母親はラゴニアに復活魔法をかけた、すると炭がボロボロと崩れていき中からラゴニアが現れた。
「……死んだかと思ったぞ」
「いや一度死んじゃったのよ!?」
「そうか?」
ラゴニアは一度死んだことを気にも留めず、またしても母親に失礼な態度を取るのだった。
「このババアの魔法とても暑かったなぁ……どうしたらそんな強いギガフレア打てるんだ?」
「誰がババアですって??」
「天然すぎて地雷を踏んだようだ、私は逃げるから他の奴らは授業を続けてくれ!!」
ラゴニアは空を飛んで逃げた。
「逃がすか!!」
続けて母親がラゴニアを追っていった。
「授業を続けようか……」
私たちは教室に戻り、授業を続けたのだった。だが平穏が一瞬にして崩れ去った感覚があったのだった。
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