29話 贄
寮に帰った私はくつろごうとした、だが部屋に先生が飛び込んできたのだった。
「ステラ今暇してるのか?」
「私ですか?見ての通り疲れてるんですよ」
「良く分かったお前は暇だ。ちょっと手伝ってほしい事があるから職員寮に来てくれないか?」
職員寮、それは遠くから通勤している教職員が寝泊まりできるように作られた場所だ。
「でも職員寮って私たちのような学生は出入り禁止だったと思いますが」
「ああ、その事だけど私がいいように言いくるめておくからさ」
「もしそれで懲戒処分になったら?」
「もちろん校長に文句を言いに行く。それぐらい大事な用事なんだ」
(リスクを冒してまで私を職員寮に連れていくって何か大事なことなのかな)
「気になるし行きますよ、でも停学になったら校長室にカチコミに行きますよ」
こうして私は先生の案内の元、職員寮に向かっていった。
「しかしステラたちの寮が豪華に見えるんだよなぁ……」
「職員寮ってどんな感じなんですか?」
「職員専用ラウンジがあってコーヒーやらいろいろとある」
「変わらないですね」
「いや変わるさ、部屋は個人個人あるんだけどラウンジは男女兼用なんだよね、それでワキガの先生がいると地獄なんだわ」
(まぁ確かに私たちは最大6人集まる場所がある、でも職員は数十人いるから臭いとか凄そうだなぁ)
職員寮に入っていくと独特な臭いが鼻を叩いた。
「凄い臭いだ……」
「これはお香の匂いだな、だが何本焚いてるんだ?」
ラウンジから煙がどんどんと流れてきていたが私は先生の部屋に入った。
「先生、一体何をするんですか?」
「ステラ、この手紙に何か見覚えがないか?」
先生が持っていたのは一通の手紙だった。そして手紙の端には見覚えのあるマークがあった。
「知ってます、その端のマークは魔族を信仰している人たちのマークですよね」
「そうだ、それでこの内容を見たんだがな……エラストの事について書かれていた。返してほしければステラ・ソフィアをよこせと」
「なるほど、人質にとっているっていう事ですね」
「そうだ、それでこちらから取れるアクションは二つ、大人しくステラを渡すかエラストを奪い返すか」
「だから私をここに」
「渡すフリをしてエラストを奪還するのもアリ、だがここは4VS0の完全無傷で勝ちたくない?」
「そうですね」
「それでね、ステラがエラスト奪還の鍵なんだよ」
「奪還の鍵ですか……」
私は目の前の先生の興奮ぶりを見て冷めきっていたのだった。そして明日には手紙の送り主の元に行くと先生が言うのだった。
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