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ー7ー闇の世界線「モノゴトリー」  作者: 醒疹御六時
終章 【ー記憶・意志ー】 異なる父と母の愛を受けて
79/83

79、―愛― 創生と天使の輪舞「3」

“―――ポタッ――、ポタッ―、ポタッ、ポチャン”

―お父さん、ここは“鍾乳洞”という所だね?畏怖の世界線で見てきたよ。それにこの力?

>ああ、ここはねその昔、創星の魔術師がこしらえた世界光星という場所だ。ここでダーク・オブ・ホールの研究が再び行われた。無論、闇の災厄も再現できるのだ・・・ピタッ

―僕の手に何するの?・・・あ、あああ――、この力という力は曲のように詠う?

>これはな『輪舞ロンド』という。つまり繋がりと約束に支配を与える受法だ。目を閉じろ。

―あ、これはゼロ?スぺエリクス・ウェーバーによって生命が宙細分裂を始めてゆく!あ、これって英知・・・霊魂・・・バーン・ウォール・・・始まりから始まりへ?

>彼の存在はビグヴァル。私の連れだ。その存在は“無を司る”と云ったのだ。例えば――


――零の世界線シースペイン・アイン

 意識の奥底にある白くも赤い線が模様を作る。そこは眩しくも明るくも暗くも産湯に浸かるかのような空間。上を見ても横を向いても下を覗いても狭くて暖かく包まれている。存在するそれは記憶なのか無知なる意識の空洞、袋、つまり子宮体らしい。

 その空間から抜けるのに水と泡が音を立てて流れゆく。そして袋は赤い線を伝い破れてゆくと広くも蒼黒い空間へと導かれる。水は空間を流れる勢いとなり、泡は煌めく無数の小さな形となり、音はエネルギーとなる。そこは冷たく重力さえなく闇のよう。

 その小さな形は光となり強くも新たな生命をその空間へ宿していった。それ等はやがて“意志”として動き、時を創るのだった。意志は空間をあらゆる形へと成長させてゆき、その引力で空間に穴が開きそこからまた新たな空間が生まれた。

 そこでは時の成長と退化、進路と退路を示してゆく。


>それが大いなる意志ビグヴァルなのだ。

―大いなる意志それは、未知なる意志でもあるの?


――1年8カ月目

 男は伝えた。記憶はやがて英知となり空洞を創り電磁波を流すと色を変えていった。色は熱さ、冷たさ、空気、水、ガスとなり重力を創っていた。それに伴い時の歪が空間へ柱を吸い寄せた。それがブラックホールでその収束磁場が弾けたものをビッグバンと呼ぶ。

 電磁波が粒子となり光の束へと成った。その光の隙間に7色の量子たちが光りだすと暗くもおびただしい線を生み出した。それをダーク・オブ・ホールと呼びすべてを切り裂き光の束はライト・オブ・ホールと呼ばれ虹の量子によってすべてを分解させていった。

 そのような成り立ちでそこが世界線と呼ばれる由縁である。それは泡のように弾けて虹を創るのだったと。


>そう。同じ生まれでも容姿が違ってしまうのだ。見ただろう?アムヴァークを。

―うん。ここでは推定年齢として測られる。だけどそれは僕が総主になる以前から・・・。


 天使の世界線があるのだとしたら、シースペイン・アインがゼロの世界線ではないという事だ。そして生命が生まれるとそこに“知る事”が与えられる。これも大いなる意志ビグヴァルによるものである。ビグヴァルに引き寄せられし存在ニューファザーもそのひとつ。

 生命は英知を与えられ、最古の文明に彩られ、畏怖いふに闇の災厄が現われ、曲泉で魂が歪められ、輝きによって闇へと突き落された。だから人工生命体という魂の媒体を介して宇宙移民を果たそうとするのだろう。我が文明を変換し続けるだけでは収まらない意志の兆しとはそこに在る。

 だが、魂だけは何を以っても掴む事は出来ないだろう。


――1年11カ月目

>長に選ばれたそれは意志。そのひとつがジグル、君という存在だったのだ。

―だからこの刺繍のように、僕はやがて役目を降りなければならなかったんだね。

>そうだよ。ブレトルとインシュビ―が親子以上に友でもあったように。


 彼等は親子というには余りにも型に収まらない関係だ。ビグヴァルは迷った。本当に二つの意志が繋がってしまうと宇宙の真ん中へ宇宙を貫く一閃を創ってしまうだろうと。なのにビグヴァルは驚いた。ブレトルとインシュビ―には同じく愛する母がいる事を。

 そこでビグヴァルは感じた。二つのこの存在を突き放し光と闇で生き抜けと人間に変容させていったであろう事を。そして悲劇は起きた。光と闇の束は生命の象徴を飲み込み切り裂いたのだ。それこそ闇の魔道であるとジグルへ説いてみせた。


>だから私はビグヴァルの意志とは異なる視点で君を知ることにした。

―お父さん、あなたの本当の役目は闇の向こうの光となる事なのでしょう?


 ジグルとなったモノでもないその意志は、研究や実験をしなくとも直ぐに立ち上がる。ただ生命体としては、蚊弱く、その頭脳の比重に耐えられず、転倒しやすくもなっていた。彼が誰かへ人である事を伝えられるのは“君だけなのだ”と男は教えたかったのだった。

 そう、彼の言う“一閃の光として”役目が与えられるのなら喜んで“闇”を強めてまで役に立ちたいと男は願うのだった。もう、これ等の比重に負けてジグルが倒れない様に。


>その通りだ・・・。しかしだ!ジグルよ・・・いいかい?闇を強めると、必ずそこへ一閃の光を灯すモノが現れる。決してその存在を追いかけず見ておくのだ。きっと君の光は眩い太陽をも優しく包み込む事だろうからいいね?あくまで自分の事だけだと思うなよ。

―そっか。この鍾乳洞がなぜ光を発しているのか分かる気がするよ。自然発光なんだね?そして僕もその一つだったんだよ・・・。

>ほほう、それは一つだけじゃないのだな?

―そう。それにね?お父さん、なぜ魔道の力は闇じゃなければいけないのか、そしてその波動がなぜ宇宙からもたらされたのか意味が解りました。ほんとうに闇だけでも光だけでも弱くてとても灯を続けてゆくには時間と絶え間ない愛が必要だと。それから僕の為にも人の為にもなるのだと教えられたのかな・・・。あぁ上を見上げるほどに数知れないや。

>魔道は宇宙、闇、光、灯、時間、お互いの為に、だね?

―はい・・・。これは、きっと僕にとって・・・新しい希望なんです!

>合格だ。ジグルよ、魔道を自分の意志で導いてみてくれ。これは君への挑戦カードだ。あげよう。その導きが新たな意志を生めるよう是非、君に生きていてほしいと私はそう願うとするよ。そして今度こそ希望を持つのだぞ!


――2年3カ月目

 ジグルはその鍾乳洞を見つつ男へ打ち解ける。理解者は得られずとも人は自ずと理解をするのである。彼は自分の事を父ブレトル、友ライズへ届けて行き、今度こそあの頃の研究ラボでの出来事よりはハッキリするだろうと告げた。

 そして、そのように彼なりに理解を纏めていくと、彼は誰かの意志を借りる事を募り始めた。それは罪より等しき愛だというその強さは、ジグルにしか見えなかった。もはや一人の人間として変わっていた。

 大いなる意志よりも彼自身が“明らかな意志”を持ち、更に洗礼されてゆくのを男は見送るのだった。


『ところで、君は何故あの様な状況下で自らを纏めてみせたのだ?』

『そんな古い道理が、単なる動機に変わったに過ぎないよ。どうしたのだ?』

『あまりに早く成長するものでね。彼には随分、宝なる存在を得られたのさ』

『成程、君にもあの成長を重ねてしまうのかね?あの時を刻む度に慌てた事を』

『なぁ、№5よ。モノゴトリー協会には愛が少しでも育まれているとよいな』

『クイ・・・ああ、全くその通りだ№10マジェス―――いや、君は―――』


――――創星主そうせいしゅ。最初の名を“超電磁波爆発ビグヴァル”と云ったかな――――

※スぺエリクス・ウェーバーについて

サンシャインー0ー零の世界線 を参照にどうぞ。

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