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ー7ー闇の世界線「モノゴトリー」  作者: 醒疹御六時
第三章 遥かなる高みへ
68/83

68、―畏怖―思いと預言


”ブルルルルルル、パタパタ、ヒュイイ――ン”

「自衛隊か・・・」


――異歴213年2月、俺はテレビを見たんだ。

 孝弘の父はジパンのフィ―ン空港での爆破事件に巻き込まれ帰らぬ人となった。その犯人の特徴はグループで各自が内通者、予想地図係、指示係、爆破係と4,5人だったとジパンポリスが総力をあげ判明させたと記者会見にて報道された。

 犯人グループである彼等はフィ―ン空港内で麻薬密売ばかりか高額な金銭取引に手を出していたらしく交渉決裂となるならいっそ、空港内で爆破しようと目論んでいたらしい。孝弘の父は何も知らず夢侍ゆめじ空港へ向かおうとしていたが、爆破に巻き込まれた。

 グループは目的達成のために大勢の客の前で大袈裟に声を荒げて逃げた。そして彼の父を含め死者は6人へのぼるとの事だった。


―――ハハ、ハハハハハ・・・バッカだなぁ!

「ははは・・・死んで、変容を遂げたのかな親父はさぁ・・・」

「元気だせよ孝弘ォ・・・お前は14歳になったばかりだろう?」

「さぁ分からないな。俺アイツの死に際に文集貰ったばかりで訳分かんねぇ」

「俺だって、おじさんが亡くなるなんて夢にも思わなかったよ。迫る光の中で」

「じゃぁ―、親父は預言者かよ!その迫る光の中で俺達は逃げられないんだとッ、つまりアイツはその爆

発の光で逃げられなかったッ!?逃げられず―?じゃあ、アイツに土産でも買ってきてくれと言ったから土産が重くて逃げられず、いやッ違う違う違う!お、俺は・・・せめて親父らしく居てほしかった“ジワ、ポタポタ”―ぅ、くそォ、くそっ!」

“ダンッ、ダン―ッ―・・・痛ッ!ちくしょおぉォ―――ぅッッ”

「“クスン”孝弘・・・」


 俺達は理会純りかす学園に入学したばかりだ。次の学校で専攻する科目を考える頃にも差し掛かる。自らの考えを親に相談し、進路を決めようとするのにその親が居ないと先ばかりを見るに違いない。だから考えるのに困る親側も自分の知らない誰かに相談し、過去の記憶を研ぎ澄まし先でなく前を見ろなどと教えてくれる事もある。

 それなのにその彼が頼れるのは母親だけだ。俺が母のように彼を支える事はできなかったのだろうか。それともこの爆破事件は俺にもあり得る預言の予兆なのかと感じてしまう。

 この季節、木々は冷たい風をしのぎ光を浴び枝から葉を生やす。それは如何にもすがるように、そして予測でもあるそれは何時やって来るのだろうか。縋りたい気持ちは誰にだってあるのに、その手段を潰してしまう事など当然の様に起きるのだ。

 歩き歩き見えるこの畑も実りを期待するものの、それはあくまで生育期間の推論、推測そして光の予報だ。縋れない事で怒りを覚えるのだろうか?では、彼の父が示した預言の光は――?


―――サッ、サ、サクッ、

“よォう!中糸なかいさん、2月だよぉ~。

あんたの畑は変わらずみずみずしいなァ~~”


“あぁ?古上こがみさんかぁ!水田も光りよるし

お陰で芽を出しとうわ。今年は豊作かの?”


“うん~、コレもひとつの愛情だなぁ?

中糸さんも手を掛けてあげてくんさいねぇ~!”


“そうやのぉ―、サクッ、サッ、あ?

古上さんよォ彌汲さんトコ行かんかぁ~~?”


“あの事故?しもた!弘江さん、一人で――・・・”


 『愛をこめて』とはよく言うものだ。この畑にはまだ苗も小さくて細くとも直立している事が窺えた。それなら潰された畑はどうだろう?もし彼が直立していないならうねから幹を表す事さえ叶わない。俺は冬になろうと潰されないように彼を見守っておこうと思う。

 たとえ冬になったとしても太陽は雪を溶かすだろう。溶けた雪から枝が葉を広げてゆくように彼のこの悔しさもやがて伸びてゆき、空の雲を見上げるのだろう。なぁ、孝弘よ。お前は決めたのか―――


――1カ月後

“ザアアァ―――――ポチャ、ポチャ、ポッ”

 俺はせめてもの慰めと気持ちを孝弘へ伝えたかった。しかしあいつの心の中は思い出よりも下を俯き歩く事だけだった。母である弘江ひろえおばさんも孝弘へ不自由なく暮らせるようにと、近所と力を合わせながらどうにか過ごしては居るものの、この不穏な空気はどうにも出来ないで居た。

 あの事故で父親を失った気持など俺には分からないのだろうが、せめて彼の元へ付いてあげないと万が一の事を感じてしまうのだ。大人とは一体何だ?奪い合う事か?それとも潰すのを喜ぶことか?それは老後も同じなのか?駄目だ、俺が付いてあげないと――


――なぁ、孝弘?

「2年前の思い出作りは?今でもいい、どこへ・・・決めた?」

「いや、分かんねぇよ。お前の思い出だけに閉まっておいてくれ・・・」

「そんな事言うなよ孝弘ぉ!俺達・・・友達、だろう?」


 やはり俺が話し掛けてもあまりこちらを見てはくれない。もしかして俺が彼に構ってほしいんじゃないかと思われても仕方のない事かも知れない。だけどこんな雨の日だからこそバス停で実母に話し掛けられない事もあるだろうから、しょぼくれていないで起きろよ。だからせめて俺が聞いてあげないと――


“ポチャ・・・チョン・・・ザァァ――”

「あのな?おじさんは何か言い残していなかったの?」

「・・・ねぇよ・・・俺はアイツじゃないんだ」

「いや、お前自身の事を聞いているんだよ?お前だって親に隠し事の一つや二つあるだろう?俺だってそうなんだ。お父さんにもお母さんにも思春期特有のことは・・・あ!」

―――うるせぇんだよ、お前は・・・

「何が親だバカ野郎、何が友達だ?俺はお前の親じゃないんだよ!」

「・・・なっ!」

「それに俺だってこんな雨の中で一人寂しく居る訳じゃないんだ。だけどお前はなんだ?お前は独りぼっちじゃないのかよ?・・・へっ、何が友達だ・・・この『臣子とみこ家の恥さらし』!“―ガッ”」

―――うるさい!お前に何が分かる!!

「 言ってみろ・・・!

お前に『おじさんの何が分かる』んだ?

前を向け、それで歩いてみろ・・・ッ 」

「 あん?なんだよォ―!お前が歩けよォ、

“ゴッ、ボコ、ドッ”ほらほら、歩けぇ―!! 」

“バシャッ、ゴッ・・・ザァァ――、バチャバチャ、ドッ、ボカッ”


 何度話し掛けても幾度も孝弘の声を聞いても俺自身が納得していなかったのだろう。正面であいつと話し合うにはまだ早過ぎたみたいだ。それは平気で人の噂を流したヤツには分からない痛みだった。

 何度も何度も俺は彼に殴られて服も汚れていたのだから、同じ年で背も俺の方が9センチ高いのに体格で勝る彼を説得する様なモノなど持ち合わせては居なかったのだ。それで俺はなんと弱いのだと責めていた。本当の大人の役割って何だ?


“サァァ―、ポツ、ポチャ・・・ポッ―、ポ・・・”

「うっ・・・痛っちィ~・・・それに服も泥が付いて、落ちるかなぁ」

「俺も汚れた。でもお前はなんて弱いんだよ・・・おばさんに怒られるかも」

「いや・・痛たぁ・・言っとくよ。母さんもお前のこと知ってるし~ムクッ」

「サッ”ほら、手貸すよォ・・頭は俺が弱いから、だから、ごめんよ・・グイ」

「ふふ、ははは・・俺の勝ちだな、孝弘“ギュッ”救ってやれなくてごめんなぁ!」

「ははは、仕方ねぇんだ。あの事故、俺も何かに糸を引かれている様で、いつか俺も同じようになるんじゃないかと思ってしまうんだよ。だからアイツの死んだことは・・・認めたくない・・・光ってたから、追い付けなかった・・・飛行機雲より遥か地平線むこうに、だ」

「追い付けなかった?それは死ぬことなのか、それとも生きるための・・・?」

「ガキには分かんねぇ。ただ一つ言える事があるならこれは“預言”だ。あの海で起きた事が俺に降り注いだ。もしかするとアイツにも降り注いだのかも知れないんだ」


 “宇宙むこうに昇る赤い線という子宮つながり”を思い出していた。だがあの海を示した筈の孝弘自身が何も覚えていないような気がした。これが“変容したのだ”と気付くにもあまりに寿命を迎えるのに時間が掛からなくて人の身では分からなかった。

 もし俺達が孝弘の父親の年齢と同じ37年でも生きて居られるなら、何かを作っているのだとしたら、それは儚くも醜い大人の時代を生きているのかも知れない。たとえそこに罪があるのだとしても赦しを与えられるなら神は子宮を疼かせているのだろう。


「なぁ、孝弘・・・俺にも追い付けない事が起きるのかな?」

「追い付けない事は近いうちに起きる。お前も覚悟しとくといい」

「え―・・・それって預言の?」

「そうだよ道彦、親父は書き残していたんだ。そこで光を浴び赤い線を見つけたなら一度変容を遂げるのだと―、そしてその魂さえも―――」


――――魂すらも返って来ないんだから。


道彦?帰ってきたのね・・・あぁ、こんなに濡れちゃって、ほらほらぁ

いやぁ、孝弘と遊んでいたら濡れちゃって・・・ははは

あら?怪我・・・、アザが・・・何かあった?

実は俺があいつに振り向いてほしくて・・・それで。

“振り向くと臣子家の恥さらしになる”と言われたという事ね。

流石お母さん。あいつらしい真意だよね、それは。

そうね。“唯一無二の友達”だという証拠よ。


――研究ラボ

“ドス、ド、ピタ、ドテ”

―うん、そうだよぉ。だれも覚えていないんだって~

「それは道彦さん、あなただって覚えていないでしょう?」

―ボクはお父さんとお母さんとあと・・・えっとねぇ

「あなたは繰返すの。もっと酷いことが起きてしまうと抜けられなくなるわ」

―そうだよぉ!ボクは何度も起き上がれるんだぁ“―ムク”、ほら~ねぇっ?

「だから死んだんだよ。お前の両親は巻き込まれた。それはお前のせいだろう?」

―え!知ってたのぉ?ボクがお乳飲んでたことをっ!?

「臣子家の恥さらしが!お前など叔母さんが居なけりゃ、施設に預けて終わりだ」

―う、え・・・ひぐっ、そ、そんなことを言わないでぇぇ~~

「お爺ィ、いつまでもさぁ甘えていないで私の事も思い出してよ?」

―ううん?ボクは赤ちゃんだよぉ!ばぶーばびゅ~あ!居たぁっ見つけたぁ

「そうだぁ!あなたには何も見えていない。人は?救いは?誰も居ないこの場所で??これの何処が研究ですか!!これは只の人災的手法だろォォ――!!!」

――――これはボクの魂だ!


覚えている?

人を陰から覗くだけのプライドしかない人は、

何も傷付かないんだよ。


――異歴215年8月頃、あの日――、

 生命学を目指していた俺は、夏休みに両親と叔母の家に泊まりに行った。そこは標高3,650メートルに渡る山々と自然に囲まれており、この勉強や実験で凝り固まった脳の休息にはよい報せだった。

 その火山口から作られたであろう熱により食事は作られ風呂も沸く。生命とは凄いものだと感心した瞬間は、やがて終わりへと差し掛かる。


『おっと・・・道彦、そろそろエネジーラジオに流れるよ?』


 “―桜衣奈留紀おうい・なるき選手!ベシェトレブリー大陸にある標高5千メートル、ビコンファス山へ初登頂だ!前回は標高2千メートルにある伊豆区山いずくやまの登頂に成功したばかり!これぞ生命の根源なのかァ?いや、彼女は僅か16歳、その少女の体に何が起きていたっ!?―”


『凄いな、俺と同じ年で・・・山かぁ・・・あの光はなんだろう・・・』


 そして俺は両親と共に叔母の家から自宅へ帰ることになり、その車は森の続く山々に囲まれた自然道を走る。俺の父は運転しながら周囲へ気を配り、母は気持ちよさそうに景色を見ていて祖父母のおも話などを連ねるように語っていた。

 俺の方はというと山に“光る何か”へ目を向けていた。それは通路のように近付くようにも見え、これも“預言”かと俺はつい声を挙げてしまう。


「遺言となったあの預言・・・だから気付かなかったのかな~~クイッ、ゴクン」

「へぇ~予兆、病かねえ~コポコポポ、それでお前は?道彦はどうしてたんだ?」

「コクッ、そうそう実は孝弘、こんな事も。幼馴染のお前にだけは話すよ――」

――カッ

―――バキバキバキバキッ、ガン、ゴロゴロ、ドカッ、ドガァァ――ッッン

『ドオオオ―――ン、グチャアア――バキバキバキバキ』

『メキ、グシャ――パキッ・・・コン・・・』

“んあ・・・あ・・・お父ぉ・・さァ、お母ァさあ・・・ん?”

『ガ・・・ギィ――・・・パラパラ、カッ・・・』

“ベチョ、グチョ・・・え?・・・ドロッ、誰の手?・・え”

『・・・コロッ、ポロ・・・』

“赤い、痛い・・・頭の上・・・潰れ・・・、口が・・・割れて?”

“お父ォさ・・・ん、眼が・・・無いよ?・・・お母ァ・・”

『パチパチ・・・、タンタン・・・』

“下が無い・・・足は?グチョ、ドロ、ベチョ、半分・・・?”

“グチョ、ベキ、ボギン、あ・・・体が戻った・・・なんで??それより・・・”

『ガゴン、メキメキメキメキ――――、ギイイィィ――――ガンッ、ゴロン』

“ああ、屋根が取れたよぉ!!ねえ!お父さん・・・頭が、無いの?・・・お母さん体ァ半分無いよォ~・・・ねぇ?ユッサユサ、あ!ベロン、ドクドクドロォ―――・・・あぁぁあ、止まらない、止まれぇ――!ねぇ、ねえぇえ――父さぁん、母さァ~ん、俺の、俺の名前を・・・名前を!呼んでくれよぉォ―――――・・・・・・”


「――そう、あれは事故と言われてきた」


 俺は事故前に光が迫ってくるように感じ取れた。父の事だから母と俺に気を配っていたのだろう。突然胸の苦しみを訴え、それで車のハンドルを崖に向かい急旋回しアクセルを踏み絞めていたと俺は記憶していた。それは当時の精神論で“二次的妄想だ”と示される。


「それを記憶の変換はじまりともいう」


 だが本当の記憶では父の手はハンドルを握るのみでアクセルとブレーキペダルを交互に踏んでいた。俺はその反動が体に引くのを感じシートベルトと体を庇い追突と共に目を瞑り意識を失っていた。それに気付いたのは車の軋む音と石の転がる音で、両親の声や感触ではなかった。

 目覚めた俺の確認の限り車内は暗くて何も確認できず光の現象について頭になく不安に光が差すのを唯々待っていたのだ。眩い光のせいで時間は感じられなかった。


「それは光の歪と時空変則いきさきの表れだった」


 そこで初めて両親が潰れていたのだと確認でき俺は二度と反応しないソレを呼んだ。光は“ライト・オブ・バースト”という現象だと本で調べた事もありそれで景色が一変した。

 やがて変容を迎えるであろう人体の構造的な繋がりを捻じ曲げていくよう、俺は僅かな時間と共にその事故を調査・結論付けた。だが本来は光の屈折による眼の痛みしか起きない。


空間湾曲にらみあい、それが変容の始まりだと考えた」


 だが刑事捜査の判断・結論では到底、学問にも連携すらも及ばないその現象が“災害”でなく俺の生存上、“交通事故”という扱いで捜査終了となった。事故案件の一つとして検察にも掛けられたし車の製造工程では予測不能の速度と衝突。

 それで父は心臓発作による意識障害をきたし自動症を起こしていたとされ母の死について罪は問わなかった。俺は生存しているため軽度の打撲症と診断された。だが、子供が学問を経て大人になり組織に入るという事はこれ等の観点からして基本マニュアルに従うだけだ。

 個人的な観点などそう事実通りに運ばないモノだ。俺だって色んな研究論文を参考に学んできたつもりだった。

「だが――、加害・被害関係が不明と見なされた?」

「ダメなんだよ、学論ビジョン唱えても。大人マニュアルってさ、」

「不便だよな~保険も下りないしィ」


――彼は言う。


『― 潰れてほぼ原形なく当時の法律では、

物損事故の案件だと伝え遺族は岩に謝るのか ―』と―――。


 物理的法則だと岩に対し車両は1,5Tトム、たとえ亀裂などの損傷を与えたられたとしても岩石が20Tと比重にならず、そこへ3名が加わろうとも合計1,170kGケージ、岩一つがその11倍上だ。

 父の車の時速が156mtメートだった事から新刊記事は『軽微事故』と記されるが、実際は重大事故。あくまで予測上、言葉での合算。我が家は生命と損害保険は入っていたが自死扱いのため支払われず解約だ。叔母おばには大変世話になった。


『― 所詮、プライドがまさった。

時間と金をかけて築いた事に、

何にも怖気づかなかった ―』ともつづった―――。


――もし、これも変容だとしたら?

生体理論に基づく光学的宙間説こうがくてきちゅうかんせつでの研究も必要―――?

 だが俺は、既に感じられた。18歳の旅で乗り越えた山、戦乱の情景、光の束の光景。そして“ライト・オブ・ホール”と呼ばれしあの波動をも自らの体へ取り込んだあの時の感触かんしょく

 あァ!覚えているよ、父さん、母さん。あの時の俺を抱いてくれた感触ぬくもりを・・・ぉ。それに――、嘘だろう?俺は魔法生物なんかじゃ―――


――そういうこと。

「起訴状には『光が原因』と書いたが無効。17歳少年の作文と思われた」

「ふん、子供日記イメトレって話はよくある。お前はそれで?」

「で、終わり!」

「しかし道彦、俺もそうだ。親父の手記に“生命は儚くも愚かなモノ”とある通り、その尊さを人は忘れている。それだとライト・オブ・バーストが審判を下すのか?この酒瓶とコップのように・・・よ!コトン、と!カタ、へへぇ~上出来だ・・・!なァ道彦ぉ?」

「フゥ~孝弘、酒で頭が冴えてんだな?」

「冴えるどころか起こされる、道彦、預言とは有無こおりをも覆しちまうんだぜ、」

「如何にも“してない”けど“しました”ってか?」

「へッ。生きてても死んでしまっても保険なんてね、在りもしない。俺とリプラの関係のようにどの意欲かが分かんねぇ。まったく巫女―あ?そうだッ、それよりも!お前が問題だったァ!なぜ道彦は何故五体満足で?光の原理はどう?いち学者として何を目指す?」

「俺の体はね生死原理構造きしげんりこうぞう論上不明と医学的視点がもたらされた。薬も機械もお金のかかるモノだし人員配備にも時間と資産源などかかるし発表するには物的証言すら捜査上不明なんだから研究材料にもならないという前例すらないモノで、それが当時の科学理論と」

「それだけか~?今日はお前らしくないな・・・俺はにじり寄るぞぉ~?」

「ふふ、生命理論的に宇宙線が空間物質を通り抜け離合するとその摩擦で磁場を形成しそのままエネルギーを広範囲へ強く放つ。ライト・オブ・ホールの親とも云われている。永話だ。俺に何か磁石のように引き寄せられる力があったのかな?“預言”、なんてな!」

「だから死んだ?お前の両親はライト・オブ・ホール巻き込まれた。だがそれはお前のせい?冗談だろう、人体や魂に意志があると“預言書ものがたり”には書いてある。それが本当なら意志なんて幾つあっても数え切れないよ・・・と、いう事でよく見とけ“パシッ”」

「痛て!・・・ん?・・・あ!この本は・・・」

「”コピー”したんだよ。親父の文集を本にした。でも長く置いとくと字が消えてなくなるようなインクだけど大事にしておいてくれ。俺達はずっと親友だからな?」

「それなら20年後にもまた会えるといいな」


親父・・・確かに渡したぞ。


――研究ラボ

“ドダッ、ダ、ダ―ピタッ”

―ねぇ?パパぁ、どこなのぉ~

「私はイーター・アマテというの。何か不思議ね、あなたは・・・」

―ママぁ・・・あ、ボデッ!・・・ドデンッ

「わたしはミヘル・アントレア。貴方は何処を目指しているのです?」

―ムクッ、うんしょっ・・・クルッ、キョロ

「久しぶりだな、覚えているか?俺だ!ライズ・フォングラン。幼馴染だろ?」

―居たぁ!えへへへ――、見つけたよぅ――?

「ほらっ、てめえはまずオレ様の指揮下ふところへ入るんだ!そこで本でも漁ってろ」

―――ズビッ・・・

「ジグル・ウィナート。貴殿を改めて貴族出身と認めよう。これがその証だ」

―えへっ・・・お父さん、お母さぁん一緒に遊ぼうよぉ!

「もう、俺達には居場所がなくなったんだ・・・逃げよう・・・」

――――ようやく、僕の居場所ひまつぶしが見つかったんだ!


その暇潰しが老人になっても続くんだ。

どうやらお前は気付かなかったらしい。

覚えているんだ、その味気の無い顔を。

問題と解答はどちらも手を振ってはくれない。

その意味が分かるのはお前だけなんだよ。

Tトム=0,8トン

KGけーじ=0,7キログラム

mtメート=1,25メートル

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