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ー7ー闇の世界線「モノゴトリー」  作者: 醒疹御六時
第二章 空中大陸グロリアランドへ
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世界線と陰謀説と天才

「イーター・・・?」

「いいから、」

ライト・オブ・ホールが発動し俺達は超自然界ダス・ダ―ネスの崩壊3年後を迎える前に変容を遂げることにした。ミイネン博士は翼の民ガヴリールでダリングはミキュール、ミランナはウリュエルという神の意志を継ぎし者だった。彼等は次代の世界線で戦いがあるといい飛び去っていく。そしてイーターも変容を遂げようとしていたが俺へ近寄りこのように告げるのだった。

「・・・ライズ、いい?・・・ジグルは危険だわ・・・彼に、気を付けておいてほしい」

「・・・どういう事だ?」

イーターが光の束に吸い込まれる際に俺に教えてくれた。

かつての世界線は“ザモース・エンプスティ”という世界で俺が彼女をフォダネスと呼んでいたのを覚えているのかと。俺は全く覚えがなくそれでジグルが何だというのか尋ねた。

「私は闇の女王フォダネス。あなたの妻だった存在」

――ある記述によると3人の支配者が居たという。一人は眩き王でジグルは光の王だったと。光の王は闇の住人からダーク・オブ・ホールで転生し、覇王として世界線を君臨するという。俺たち二人がジグルを追ってきたが、ミヘルは“何らかの魂のようだ”と告げる。


「イーターどういうことだ・・・それはジグルに知られているのか?」


彼女は首を振り“知らない”と教えてくれた。ミヘルの生体エネルギーを探していたが肉体がどこにも存在しないという。ジグルの余裕があるとすれば先にミヘルの通信機をジグルが持っていた可能性があるともいう。だからジグル自身がミヘルに何か細工をしたようだ、と言っていた。彼女曰くジグルは俺の記憶にある世界ジパンで共に働いていた“道彦”だと分かっていた。分かってはいたが現に彼は“ジグルの時”にも研究し人工生物に興味をほのめかしていた。妻や子供が居るということはそれ自体が人工生物でミヘルに逢っていたのならそのまま殺害し、人工生物を作ったとも考え得ると。


――ミヘルとは何なのだ?

――俺の居ない間にスタヴァ―の身に一体何が起きていた?


「私も彼と行動していたけど・・・時々、表情が壊れていたの・・・私に情報収集させておいて、私は穢れたあとのジグルは笑っていたわ・・・何か発見したかのよう」

「じゃあ、スタヴァ―様は?」

「ジグルの陰謀。王国を乗っ取ったのは議員や七つの騎士なんかじゃなくて、彼が闇の力を使っていた・・・光の王は実は闇の王だった。エイドカントリーズどころか新天地の崩壊まで追っ手を手配した。他国との計画もすべて破談。内乱も戦争も起きた。だからスタヴァ―様はその生贄として火刑にされた。イデアとしてね・・・」


――もう一つ確認しておきたい事がある――

それはジグルが闇を抱えていたことだが、新天地パヘクワードでダーク・オブ・ホールが開いていた。ジグルが道彦からの変容だった事は分かる。しかしその道彦も両親を失ってから闇を抱き始めた。闇に関係がある道彦が妻子を持ち研究に没頭しつつも俺との友情を変えなかった。闇の住民の存在もそこで微かに感じられたものの彼等は新天地パヘクワードの最果てに童話の登場人物として描かれていた。人間でダーク・オブ・ホールを守るという伝記となっていた。そのダーク・オブ・ホールはライト・オブ・ホールと同等のエネルギーを放つ。そしてブラックホールをも生み出し、それはさらに前の世界線へと通じるのではないかという謎だ。王国エイドカントリーズの書物にはイーターの告げた通り“最古の世界線ザモース・エンプスティ”というどの世界線の大地にも属さない空間があるとされていた。もしそれが如何なる世界線をも超越した場所であるなら俺達は最古まで遡らなければ何も救えないのかも知れない。


「ジグルは私とあなたの魂から変容した最古の王の一人として産まれた。でもあなたと行ったのは魂の交信であって肉体的な受信ではないのです。私が闇だった事もあって体内へ“覇王の魂”が宿ってしまった。正式にあなたとの繋がりは一切無かったのよ・・・」


――それが眩き闇“ダーク・オブ・ヘル”が、ダーク・オブ・ホールの起点だったなら―――私達の魂はどの世界線をも行き来するのなら、あのモノゴトリー協会の意識の奥深くで見たものは何だったのかしら―――?惑星フォライズ―――虹色の鉱石――なの――?


「俺がもし君と魂を同化させることでこの世界線の危機を生むのなら、“ジグル”とは俺達の闇であるはずだ。その闇が光として転生したなら、彼は何と名乗るだろう。本の一説によれば闇の住人に与えられし子は“光の王インシュビ―”と呼ばれていたそうだ・・・」


――そう、俺達が輝きの世界線の中核となるパヘクワードを壊滅させたのなら、その先は漆黒の世界線―――だとしたら、俺はそこへ君を連れてゆけないのだろう―――。


「闇の住人は彼インシュビ―を生贄にし、やがて私達の世界線を滅ぼした。そして、今こうして居るのはブラックホールの事を知るためだった。そして、次の世界線が―――」


――宇宙だったとしたら――?ミヘルの通信先がブラックホールの向こうの宇宙に――?別次元が存在するというのか―――?


そう、イーターがミヘルの通信機を聞けたのはイーターが伝説の闇の女王フォダネスだったからだろう。書物によればフォダネスは星々を超越した力を持っている。その力はあらゆる惑星の宇宙空間すら飛び越える。その姿はまるで“煌めく天使”のよう。ブラックホールの向こうにも力が届いていたなら闇の中を最も操るものとして闇の女王の名に君臨していたことは事実となる。光の側面で表せる言葉があるように闇の側面でしか表せない言葉もある。だからミヘルの意志を汲み取れたということか。

「あのね、ミヘルが通信機で言っていたのは“宇宙の向こうにも”ライズが存在していたって話なの。それからそのライズ宛にね、変な事を言っていたの」


―――――チリリリリ―――ッン


―――ライズ、まだ力に目覚めていないあなたへ私の力を注ぐわ。

だから“彼女の魂と声”をよく感じ取っておいて―――じゃ、いくわ!


―――キュオオオアアアァアァ―――ッ


≪ねぇライズ・・・もし、あなたに再び会うことが出来たなら、私達で元の魂に戻りましょうね?・・・私はもう、全てを失った。あの星にも戻れない・・・グスっ≫


≪何故だミヘル!俺達は一心同体だろう?だからライト・オブ・ホールの中でも通信機を聞くことが出来た。俺は今、ブラックホールの向こうの星”アマテス“の宇宙総艦隊に居るよ。だから還ってくるんだ!≫


≪そう、私達は一心同体。ライト・オブ・ホール・・・グスっ・・・あのとき眩き光ROソウルと闇のDOヘルと出逢った。そしてそれぞれのホールに飲まれた時感じた―――まるで体が別の空間へ吸い込まれて消滅しそうになった―――≫


≪ミヘル、君は消滅などさせない!俺が君を決して―――≫


≪それは『最古の王ブレトル』から魂が二つに別れてミヘルとして産まれたわ・・・グスっ・・・時と同じよ。そしてあなたは唯一の私の拠所だった―――別れる前にそれが言いたかった―――ごめんなさい・・・グスっうぇえ・・・もう、戻れないよォ・・・グスっ・・・きっと次の、ウェ、世界線は、エグ、闇だからぁ、ゥうあぁぁ―――――≫


――――カアアアァァァ―――ッ


―――ミヘルの最後の声でした。

会えなくて残念だと――彼女は泣いていたのです―――貴方とは別の存在のライズに―――これをジグルが聞けなかったのも―――私と貴方の魂から何者かに書き換えられた魂だった――から――彼のすべてが闇の魂で―――そして貴方も十分に闘ったのです――

――貴方自身の力―――

だから、もう―――本当の貴方は―――

―――目覚めていいのです―――


―――チリリリリリリリリィィ―――ッン――パァア――ッン


光の束と共にイーターは消えていた。

次に変容するときは彼女と会えているだろうか。

だが、俺は彼女と結ばれ闇を生んだ。ジグルは俺達の奥底にある闇だ。

決着を付けなければすべての世界線の終わりが来る。


―――そうだ。俺は眩き王

皆、心して聞くがよい―――


―――光の王インシュビ―はこの大地を破滅に導くため、

闇の住人へと変容する―――彼奴はそこで“ジグル”と名乗るだろう―――

今こそ我等の星、光を取り戻すとき―――ゆけ、そして彼奴を葬るのだ―――

―――闇の女王フォダネスよ―――我が妻であり宿敵よ―――

我が名は“ブレトル”という―――


―――さらばだ―――


――だが、これ等の状況は時間と共に

宇宙移民計画の話からジグルに優位を与えていた。


(あれ?一体、何が起きていたんだ?ミイネン博士もイーターも居ないがジグルと二人きりだ。俺もそろそろ変容を遂げなければ、あと3年の命だ・・・さあ飛び込まなければ)


そう、ジグル・・・ヤツは“天才”だ。

そして、俺は未だ王の力を引き出せていなかったのだった―――。



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