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ー7ー闇の世界線「モノゴトリー」  作者: 醒疹御六時
第一章 リハビリテーション
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名前、それは記憶のピース「6」

『あんたは未だ彼等の意図について知らんのだろう』

『意図・・・糸・・・赤い糸・・・何でしょうかね』

『無理に答えず、集中せず、直観に従うのだよぉ?』

未だ彼の言葉から導かれる自らの“予告らしき言葉”が見当たらなかった。現場指導員から医療補助員の実験のやり方について色々と聞いてもらい、話せば様々な方向から意見を聞かされる。そしてその意味と意図を感じられるように本の内容で整理整頓をするのだが、余計頭の中が混乱しそうな感じではある。そして――


――モノゴトリー医療施設“エンゴリート”

―――今は集中してくだされば、幸いです。

「さて、№850と呼ばれしデイミー・クレントン・イズマ。あなたは既に我が協会が“友”として招待します。ウーズ帝国はこの生体領域の価値をどのように捉え、攻撃対象と判断したのでしょう?一説に過ぎませんが、我が星はギゥム星雲からパリーガーダーから守られており一切攻撃不能とされていたと記載があります。それでも小さくとも儚き星々と名指すのでしょうか。そしてモノゴトリーへ到着した目的、その場所での活動など詳しく教えて貰えないでしょうか?」

「集中、確認」

「了解、脳内神経リンク確認しろ」

「了解、脳内神経リンク繋がりよし」

――この時期、工事現場で料理長がとても美味しい食事を創ってくれていた。その内容をメモして夕飯にするほどまで身体記憶能力は安定していた。しかしこの日の実験では脳領域内にある言語が『悪魔がこの星へ攻撃を開始、食事に未確認生命の微細胞が混入しており殲滅せんとしている』といった表示で構成されていく。これが機械を信頼しすぎた故の反動でとても文明的とは言えない。俺もここで言語を覚え本も買って読めているのに人の話も聞かない事だと誰かは気付くと思うのだが、ここでは記憶を消去される・・・。


彼もモニターの脳領域の内容に対し仮説を始めた。

俺は既に失禁。それでも更に薬を注入された。

今度は“自白増強剤ル・コンチュルヌ”を。


「――果たして、効果が確認できたでしょうか。これは我が星で製造した薬物の内、生体反応索敵βというものです。さぁ、デイミーとでも呼びましょうか。あなたはドジェス銀河がいかに広大か理解し、我が協会で個体を察知されたのかご理解いただけたでしょうか?」


室内には俺の雄叫びが響くだけだった。彼等は訓練されている。

彼等がここで失笑なく、この苦痛に満ちた環境を談笑もなく、密談し観賞することもしなくて逃げ出すことすらしないのも全て“データー採取という実験目的のため”なので何ら反応など示すことなどしない。

この実験は医師に当人の容態の確認を取っている訳でもないから、どの様にしてどうしたらいいのか等と対応することもなく決してやり過ぎなどとも感じてはいなかった。

意識がおぼろげながら、俺が“お願いだ、そろそろ疲れたので今日はこの辺で休ませてほしい”という意思表示をしていたが、脳領域にはそれが示されていなかった。


――機械にある脳領域の内容

『理解した。モノゴトリー協会へ運ばれた俺が何をし、何故ここへ来て何をしていたのか全て思い出すまで続けている様ならお願いだ。まずは俺の提案を飲んでほしい。名前は頭文字から形成されている。それも数多の名称で呼ばれている。それ等がなければ俺の仲間とは通信できない事になっている。それ等は我等が宇宙基地のキーワードでもある。君達に一つチャンスをあげよう。もしよければ君達で決めてほしいのだ。そうすればこの星の破壊行為は中止しよう』


機械にはこのような意味の言葉で形成されていた。


医療補助員の彼等はその俺のしぐさを見かねる事もなく視線を合わせて実験を続けた。

その彼の交信はあくまで患者当人でなく機械に対する評価である。

今回は俺の意識に宇宙人が潜んでいるとの過程で推理推測し、体の隅々まで俺の意識や体、血液量、神経の働きが本当に医師の示した画像通りの反応なのか、電流と薬物を切り替えそれ等を理解するまで計6時間続けてゆく。


「電源オン」


「うああああぁぁぁあ―――ッ!?」


「さて№850、頭文字から名前を思い起こすのはとてもいい方法でした。しかしあなたにはそのような破壊行為という方法は選べません。なぜなら私はあなたを個体と認め、私と“友情”を交わしました。他にはこの施設の誰かだけ、生活の分の記憶しかありません。どこへそのような宇宙空間での規模の話に発展すると言うのでしょう」


――機械にある脳領域の内容

『確かに君達には警戒すべきだった。ギゥム星雲からパリーガーダーが在るなら我が帝国の攻撃など反射してしまい絶滅させられるだろう。なるほど、友情というなら敬意を表し和平を執行するよ。俺の名称はナンバーネーム850でよい。以後よろしく頼む』


「いいでしょう№850。さて次に移ります。あなたは以前朝がきて、食事をし、用を済ませ、行動を起こし、空腹や睡魔に襲われるころ昼がやってきてどこで食事をし、休みを取り、また行動をし、空腹と汗を流すことがおき、夜を過ごすころ、どの様に眠るのか、どうして朝を迎えられたのかなど示していました。これ等の過程には・・・」


目の回る様な気の遠くなる質問が気絶してもまだ続いていく。

俺の耳には彼の声が届くが、俺に発言は許されていない。


(これに集中する方がおかしい・・・

モノゴトリー協会、彼等は皆を消して・・・)


だけどまだ実験が終わらないため俺は

涙をボトボト流しながら目を凝らし答え続けた。


「あ・・・ァ・・・あ・・・アグゥゥうう~~俺はぁ~毎朝現場に向かうため食事を行いぃ~、行く前に用を済ませ服装を整えるぅ~。そして現場でぇ~工事をするためにクレーン車を扱いながらぁ~、同僚と合図をしてぇ~指示に従っていたぁ~。昼には次の工事の体力を維持するために現場とかぁ~、食堂で食事をしてぇ~、そのあとのぉ・・・公園のほうで仮眠をとりましたぁ~アア・・・ァッ。そこで・・・モノゴトリー協会に来る前のぉ~記憶を探っていましたぁ・・・。昼の休憩時間が終わるとぉ~次は工具を取り出して現場に向かっていたのでぇ~・・・ぅぐぐ―」

「抵抗値82%、脳領域セーブ」

呂律も回り難くいまま続けられる。


「誰と、現場で食事をしましたか」

俺の声は医療班には届かない。声は枯れ、泡を吹いて喉を詰まらせる。

「おごゴゴゴ・・・ごほォ~~・・・お“ぇぇ彼ばぁ、えっどぉ、え~っどぉおお~?」

無に等しい意志表示。日常的な流れを彼に伝えていたようだが意識は混濁し既に脳の一部が潰れてしまったようだ。こんなに長い一日は働くことよりも厳しいものだった。

ほんとう、休ませてほしいと思う。

「抵抗値99%、脳領域セーブ・ワン」

――なのに!

機械のモニターには、

『――まだ――、隠していることがある――』

と、表示されるのだ。


「なるほど。まだ隠していることがある・・・のだと。№850の意識体は既に乖離しているのでしょう。日常の行動の一連からあなたは何処かで躓いたかも知れない。或いは何等かにぶつかってしまったのかも知れない。しかも№850としてここで生存している。既にあり得ない事ですね」

・・・お・・俺、はぁ~・・・グッ、ぐォッ―ォおお―――ッ!!

「抵抗値201%、脳領域フォース・エイ!」

「フォース・エイ確認!超高圧級光電、流せ!」


―――彼等はいったい、何を、言っているのだ?



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